はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第4章 赤ワインの考察

痛風はビールを飲みながらでも治る、を読んで赤ワインでも効果は同じだろうと考えました。しかし、ワインには亜硫酸塩が添加され、フランス国立がん研究所は毎日コップ一杯の赤ワインを飲むことで口と咽喉癌の発症を168%増大させうると警告しました。

1 ワインの歴史

ワインの始まりは、紀元前8000年頃と言われます。世界中でまだ石器が使われていた時代、日本の縄文時代にコーカサス山脈(現在のジョージアのあたり)でワインが飲まれていたと考えられています。

文献上でワインの醸造が初めて登場するのは、紀元前5000年頃です。シュメール人が書き残したメソポタミア文明最古の文学作品である「ギルガメッシュ叙事詩」に、洪水対策の一環である船の建造に携わった労働者にワインが振る舞われたと記されています。

紀元前5000年頃と思われる遺跡から、果汁を絞るための道具とされる石臼が発見されたのも、ワインの醸造が始まっていたと考えられる要因の1つです。ワインの原料となるブドウを育てるためのブドウ畑があった痕跡も残っています。

メソポタミアに近いエジプトでも、壁画などにワインを造るための道具が描かれていたことから、紀元前4000年代にワインが造られていたと考えられています。この時期にビールの醸造も始まっていましたが、ワインはビールと比べて高級品だったようです。

メソポタミア、そしてエジプトで造られ始めたワインは、紀元前1500年ごろにギリシャに伝わったとされます。紀元前3000年にはクレタ島やサントリー二島でワインが取引されていた証拠も見つかっているので、もっと歴史は古いのかもしれません。

ワインをギリシャにもたらしたのは、現在のレバノン周辺に住んでいたフェニキア人でした。ギリシャ人に好まれて盛んに造られたワインは、紀元前1100年頃にギリシャを有数のワイン輸出国としました。

古代ギリシャにおけるワインの役割は、飲んで楽しむためのものだけではなく薬としても利用されています。古代ギリシャの医師で、医学の父とも呼ばれるヒポクラテスは、ワインについて解熱作用や利尿作用、疲労回復などの効果があると書き記しています。

紀元前600年頃にギリシャ人の一部が、南フランスのマルセイユ地方に移り住むことでワインづくりが伝わりました。ローマ帝国の英雄、ジュリアス・シーザーのローマ軍侵攻は、フランス各地にワインづくりを普及させることになったでき事としても有名です。

2~3世紀ごろには、「ブルゴーニュ」「ボルドー」「シャンパーニュ」などにブドウ栽培が伝わりました。さらに、西暦1000年ごろの中世ヨーロッパではワインは単なるお酒ではなくなったのです。

中世ヨーロッパになると、砂漠の民の宗教であったキリスト教が政治にも人々の生活にも深く関わり、キリスト教が大きな影響を与えるようになりました。ワインは「キリストの血」とされ、神聖で貴重なものとされるようになりました。

当時の教会や修道院は、学校や研究所といった役割も果たしていたので、ブドウ畑を開墾したりワイン醸造の技術を高めたりとワイン造りに努力しました。17世紀頃には、現在のワインの販売形態に近い「ビン詰め・コルク栓」のワインが登場しました。

フランスを中心として発展したヨーロッパのワイン造りは、大航海時代の16世紀になると世界中に広がりました。ブドウは地域性が強く出るので、産地によってさまざまな味のワインができ上がります。

日本におけるブドウの歴史も古く、奈良時代までさかのぼります。奈良時代に編纂された「古事記や日本書紀」にはブドウと思われる記述があり、ブドウがモチーフとなっている絵柄も存在するため、奈良時代には「ブドウ」が認識されていたと考えられています。

お米から日本酒を造る文化が先に成立していた古代日本では、ワインの原料があってもワインは誕生しません。ワインが日本史上に登場するのは室町時代後期で、スペインやポルトガルからワインが伝わってきたとされています

1549年に鹿児島を訪れたイエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルは、キリスト教を布教したい土地の大名にワインを献上することで布教の許しを得ようとしました。これをきっかけに、各地の大名にもワインの存在が知られるようになりました。

ワインはポルトガルやオランダとの交易により少しずつ日本にも浸透してきましたが、庶民にはそれほど広がらず国内で醸造されることはなかったのです。江戸幕府が倒れて武士の時代が終わると事情が一変し、明治政府は海外との交易制限を解きました。

約270年にわたり他国との交流を制限してきた日本は、欧米列強と肩を並べるため早急に国を近代化する必要性に迫られました。このため殖産興業政策を推し進め、その一環としてブドウ栽培やワイン醸造がおこなわれるようになりました。

味の良さや保存性、製造技術といった壁が立ちはだかり、国産ブドウを原料とした「日本ワイン」は失敗続きでした。1927年の川上善兵衛によるブドウの品種改良で、「マスカット・ベーリーA」の開発に成功し、日本ワインの動きはここから好転します

日本の気候に適した「マスカット・ベーリーA」は、今でも日本ワインの原料として使用され、品種改良は日本ワインの歴史における偉業といっても過言ではありません。大東亜戦争(太平洋戦争)に突入すると、日本政府はワインの生産をより一層奨励しました。

政府が推奨したのは敵国文化の1つであり、贅沢品でもある飲用のワインではありません。ワインを造るときに得られる酒石酸が潜水艦などで使われるレーダーの製造に役立ったのです。

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2 ワインの醸造

ワインが造られ始めたころは熟したぶどうを大きな桶に入れ、足で踏んで果汁を搾るところから始まりました。現在は機械化されていますが、その醸造の過程はかつての造り方とほとんど変わっていないといわれます。

一般にワイン造りは赤ワイン造りの工程が原型となっています。秋に成熟し糖度が十分になった頃収穫されたぶどうは、房のまま除梗機で果梗(軸)が取り除かれます。果汁を搾り、果皮、種子とともにタンクに入れて発酵させます。

発酵後は圧搾機にかけて果皮と種子を取り除き、樽に詰めて熟成します。その途中で、澱(おり)と呼ばれる沈殿物が出るため、その上澄みだけを別の容器に移し替える「澱引き」を何度かくり返し、濾過処理で不純物を取り除かれてびん詰めされます。

白ワインは発酵前に果皮や種子が取り除かれるため、色がつきません。ロゼワインについては製造法がいくつかありますが、発酵の途中で果皮と種子を取り除く方法が一般的です。赤ワインと白ワインの違いは、製造における「圧搾」のタイミングの違いです

白ワインの場合は圧搾したぶどう果汁を発酵させますが、赤ワインの場合はブドウ全体を先に発酵させてから圧搾します。皮や種も発酵させれば風味が出るという考えによるものです。皮や種も含めて全部圧搾するので皮から色が染みだして赤くなります

びん詰め後にも貯蔵庫で熟成されるものもありますが、白ワインやロゼワインは比較的熟成期間が短く、最近では赤ワインでもフレッシュな軽い飲み口を楽しむ熟成の浅いものも増えています。

ワインには「ロゼ」というピンク色のワインもあります。ロゼは製造方法にちょっとした変化を加えることで生み出されたワインです。ピンク色のロゼをつくるためには、以下のような製造方法を用いることになります。

製造方法は三種類あり、マセレーション法は赤ワインと同じ方法でつくり濃い色になる前に皮や種を取り除く。直接圧搾法は黒ブドウを使って白ワインと同じ方法でつくる。混醸法は発酵前に黒ブドウと白ブドウを混ぜます。

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3 ブドウの種類

ボルドーやブルゴーニュはフランスにある有名なワイン産地の名前です。赤ワインの場合、ボルドー地方とブルゴーニュ地方のワインに非常に高品質なものが多かったので、ボルドータイプやブルゴーニュタイプに分けて語られるようになりました

ボルドーで造られるボルドーワインは2種類以上のブドウをブレンドして造られ、ブルゴーニュワインはひとつのブドウから造られるのが特徴です。ひとつのブドウから造られるのでブドウの出来によって味が左右されやすく、ボルドーワインよりも味が繊細です

赤ワインの原料は多くの種類があり、2タイプのみで全ての赤ワインを網羅するわけではありません。その産地で赤ワイン用に栽培されているブドウの品種には、「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「メルロー」、「ピノ・ノワール」などがあります。

カベルネ・ソーヴィニヨンは、赤ワインに使われる黒ブドウの中でもっとも有名な品種です。カシスやブルーベリーのような力強い香りと、ブドウの渋みのもとである「タンニン」がしっかり感じられるのが特徴です。

メルローは、世界中で広く栽培されている品種で、プラムやブラックチェリーのような香りがします。カベルネ・ソーヴィニヨンと比べると、タンニンや酸味が穏やかで、やさしい味わいが特徴です。

ピノ・ノワールは、フランスのブルゴーニュ地方を中心に栽培されている品種で、イチゴやチェリーのような香りがします。栽培される国によって風味に違いが出やすいのが特徴で、チリのピノ・ノワールはタンニンと酸味のバランスがいいものが多いようです。

基本的に白ワインは白ブドウからつくられます。白ブドウには「白」という言葉が使われてはいますが、実際は黄緑色のブドウを指します(日本で有名なマスカットも白ブドウの仲間です)。

シャルドネは、世界中で栽培されている有名な白ブドウの品種です。シャルドネは、栽培する土地によって味わいが変幻自在に変わるという特徴があり、チリのシャルドネはコクがあってフルーティ、青リンゴや洋ナシの香りがします。

ソーヴィニヨン・ブランも世界中で広く栽培されている品種です。ハーブや柑橘系のようなフレッシュな香りと、キレのあるスッキリとした味わいが特徴で、栽培される地域によって風味は変わります。

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4 ワインの種類

濃色の「黒ぶどう」種から作られる赤ワインは、赤といっても赤黒いような濃い色合いが特徴的なワインで、黒葡萄を皮ごと潰して醸造し熟成するという特徴があります。室温による発酵で作られる赤ワインは、室温程度で飲まれるのが一般的です。

熟成期間の短い赤ワインは色が薄く、熟成期間が長くなると濃い赤色へと変化します。長期熟成された赤ワインの中には、明かりに透かしてみても光が通らないほどに濃色な物も存在します。

赤ワインの世界では味や香りの傾向を、大きくフルボディ、ライトボディ、ミディアムボディに分けています。ボディという言葉は直訳すると「身体」をあらわしますが、ワインの味や香りの複雑さを表しています。

フルボディは、渋みが強く、香りも味も濃厚で、色も濃い赤ワインを指します。言葉であらわすと、主張が強く、ズシッと「重い」ワインです。レストランなどで質問される、重いという言葉はフルボディのような香り・味・渋みが強いワインを指しています。

フルボディの赤ワインは飲み方を工夫すると、その渋さの先にある深い味わいを感じることができます。たとえば、ワインを空気に触れさせるために専用の容器にワインを移す「デキャンタージュ」をすることで、その味や香りが大きく変わります。

ライトボディは、フルボディと対極にあり、色が薄く、飲んだ時に渋みが少ない赤ワインです。言葉であらわすと、主張は控えめでサラッと軽いワインです。口当たりが軽く、飲みやすいワインが多いので、初心者でも飲みやすい赤ワインです。

ミディアムボディは、フルボディとライトボディの中間にあたり、渋みや酸味、香りがほどよいバランスの赤ワインのことです。色もちょうど、フルボディとライトボディの中間色であることが多いようです。

白ワインは主に皮が黄緑の白ブドウで造られたワインです。白ワインは皮や種を取り除いて発酵させるため、赤ワインのような赤色ではなく、透明に近い黄色や黄緑色になり渋みもほとんどありません。白ワインは辛口系と甘口系に分けることができます。

辛口系は、ブドウの実が発酵することにより糖分がほとんどアルコール分に変化し、糖度が低くなった白ワインを指します。色味は薄く、酸味が強くなり、味がキリッと引き締まったワインが多くなります。

甘口系は、ブドウの糖分がなくならないよう発酵を途中でストップさせ、あえて甘味を残したワインを指します。色味は濃く、酸味は穏やかで、味はまろやかなワインが多くなります。

スパークリングワインは炭酸を含んだ発泡性のワインです。炭酸が入っているので口当たりは爽やかで、パーティーなどの場でよく飲まれます。とはいえ、炭酸を含んでいてもシャンパンの仲間ではありません。

シャンパンという称号を名乗るためには、高品質なブドウが栽培されているフランスのシャンパーニュ地方でつくられていることが最低条件で、なおかつ、いろいろな基準をクリアする必要があります

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5 ボトルとラベル

赤ワインにはブドウの品種に合わせてがあります。赤ワイン初心者は、「ボルドースタイルワイン」を選ぶほうが、当たり外れに左右されることが少なくて済みます

たくさんある赤ワインの中から「ボルドースタイルワイン」を選ぶ場合は、「いかり肩のボトル」を選びます。他の国でも、ボルドースタイルのワインをつくる際には伝統的にボルドー型の瓶が使われています。

ボルドースタイルワインといっても、どんなブドウを使っているかによってその味はさまざまです。ボルドースタイルの代表であるカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの品種だけでも味は大きく違い、どの地域で栽培されているかによっても味は変わってきます。

どの地域のどんなブドウが使われているかを把握するには、ワインに貼られているラベルを確認するのが近道です。ワインに貼られているラベルは「エチケット」と呼ばれ、ワインの名称やブドウ品種、ブドウの収穫年、産地などが記載されています

例えば、商品名・生産者名(例:シャトー・トゥール・カイエ)、生産地方:(例:ボルドー)、ブドウを収穫した年(例:2014年)、生産国(例:フランス)などが記載されています。

エチケット(ラベル)には、ブドウの「収穫年」が書かれ、これがいわゆる「ワインの年代」と呼ばれるものです。たとえば、長期熟成可能なワインの場合は、良好な環境で保管すると熟成されて美味しくなります。

ワインの年代が古ければ古いほうが美味しいわけではありません。どんなワインにも飲み頃があり、単純に年代が古ければ美味しいというわけではないのです。ワインはいつまでも熟成が進むというわけではなく、飲み頃を過ぎてしまうと味は劣化してしまいます。

早飲みに適した品種でつくられたワインは、早いうちに商品化して売り出されます。このようなワインを長期間寝かせても、美味しく熟成することはありません。ボジョレー・ヌーボーは新酒ですから旬を味わうのが基本です。

わたしは年金暮らしですから高価なワインを購入できません。最も気に入っているのはメルシャン株式会社のフルボディとミデアムボディの間に位置する「ボン・ルージュ」です。1本の価格も700円以下で、値上げに備えて少々買い置いています。

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6 ワインの最適温度

ワインは、その種類によって美味しく飲める温度帯が決まっています。その温度帯を間違えると、「このワイン、なんだか美味しくない」ということになってしまうので注意が必要です。家でワインを飲む場合は、自分自身で温度の調整をしなければなりません。

 ① フルボディ(重めの渋い赤)

     15~18℃。冬場は室温で、夏場は室温から30分程度冷蔵庫で冷やすと
     ちょうどよい。

 ② ライトボディ(軽めの赤)

     10~15℃。冷蔵庫から出して、10~15分程度待ってからグラスに注
     ぐ。

 ③ 辛口の白とロゼ

     6~13℃、冷蔵庫でよく冷やしてから室温に出しちょっと置いてからグラ
     スに注ぐ。

 ④ 甘口の白とスパークリング

     2~6℃。冷蔵庫の温度までしっかり冷やすか、氷水を使い思いっきり冷や
     す。

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7 ワインの準備

 7-1 ワインを開ける作業

ワインの栓は「旧世界」の「ボルドースタイルワイン」と「ブルゴーニュスタイルワイン」、「新世界」共に変わりなく、スクリューキャップ・縦長のコルク栓・スパークリングワインのコルク栓があり、それぞれに適した道具があります。

新世界のワインによく用いられているのがスクリューキャップで、キャップを開ける際は、スクリューキャップを中心に回すのではなく、ボトルを中心にして回すとスムーズに開けられます。

一方の手でスクリューキャップのミシン目より下の部分を持ち、もう一方の手でボトルの底を持ちます。キャップを持った手を固定し、ボトルを時計まわりに回すと、カチッと音がしてミシン目が切れたらキャップを回して外します。

縦長のコルク栓は、ソムリエナイフの刃の部分を使ってボトルの首の部分に切れ込みを入れます。一周切れ込みが入ったら、下から上に向かって縦方向に切れ込みを入れ、刃先で切り取った上部を切り離します

スクリューをコルクの中心に刺し、回しながら差し込んでいきます。フックをボトルの口に引っかけ、外れないように軽く抑えながらレバーを持ち上げ、最後は手でゆっくりと抜いていきます。

スパークリングワインのコルク栓は、フタ周りの包装をはがします。タオルをかけてフタを親指で押さえながら、針金をゆるめます。タオルの上からコルクを持ちひねるようにしてビンの底を回し、「シュッ」と音をたてないように開栓します。

この「シュッ」という音を、シャンパーニュ地方では古くから「淑女の溜息」と呼んでいます。ちなみに、「ポンッ」と音をたてて開栓すると、ワインが吹き溢れる恐れがあるので注意してください。

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 7-2 ワイングラスの持ち方

ワイングラスの持ち方は国によってまちまちですが、日本ではステム部分(グラスの脚の部分)を持つのがよいとされています。ボウル部分を持つとワインが手の温度で温まってしまうことや、グラスに指紋がついてしまうためです。

ワインに氷を入れるのは、家飲み派に増えています。氷を入れることによりとても飲みやすい口当たりになるため、ワインが苦手という人でも「これなら飲める」という声が多いのです。

ワインに氷を入れると、氷が解けたときにワインが薄くなり水っぽくなります。氷を入れる場合は、糖と酸のバランスがとれたフルーティで濃厚なワインを選ばれることをお勧めします。

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 7-3 スワリング

レストランやバーなどで、ワイングラスをクルクルと回している人を見たことはありませんか。あのしぐさは「スワリング」と呼ばれ、ワインの味わいや香りに変化をもたせるためにおこなわれています。

スワリングには2つの方法があります。グラスを手に持った状態で回す方法と、グラスをテーブルに置いた状態で回す方法です。立食パーティーなどの場合はグラスを手にもった状態で回しますが、それ以外の場合はテーブルに置いた状態で回すと安定します。

スワリングをする際は、ワイングラスを反時計回りに回します。万が一、中身のワインを飛ばしてしまった場合、反時計回りであれば自分にかかり、相手に迷惑をかけることがないからです。

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 7-4 テイスティングのマナー

素人がレストランなどでワインを頼むときに注意すべきことは、メニューに掲載されている説明を読みながら選択するのではなく、「今からこういう料理を食べるんですが、この料理に合うワインはありますか」と聞くのをお勧めします。

食事会など複数人でワインを楽しむような場合は、料理が出る前にその会のホスト(主催者)が皆を代表してテイスティングすることがあります。これを「ホストテイスティング」といいます。

まず、ワインのボトルのラベル(エチケット)を見て、注文したワインに間違いがないかを確認します。グラスに少量のワインが注がれるので、グラスを傾けて不純物が入っていないかどうか、不自然な色をしていないかどうかを確認します。

テイスティングとは、注文したワインが正常な状態であるかどうかを、香りや味などで確認することを指します。問題なさそうであれば「こちらでお願いします」「美味しいです」と伝えます。

ワインを口に含んだ際、異常はないけれど自分の好みと違うような場合でも、ワインの取り換えをお願いしてはいけません。テイスティングは、あくまでワインに異常がないかどうかを確認するためにおこなうものであり、ワインの試飲ではありません

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8 ワインの味わい方

コロンブスがアメリカ大陸を発見した大航海時代以降、ヨーロッパ(旧世界)だけでなく、ブドウが美味しく育つ世界中の地域(新世界)でもワインがつくられるようになりました。そこで伝統的なワインを「旧世界」、革新的なワインを「新世界」呼びます

新世界でつくられているワインは、伝統的な製法に比べて革新的な方法でつくられることがあり、新世界のワインは徐々に注目を集めるようになりました。「旧世界」と「新世界」、どちらのワインが美味しいというわけではありません。

旧世界に属するワインの産地は、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ポルトガル、オーストリア、ハンガリーなど。新世界に属するワインの産地は、アメリカ、チリ、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチン、南アフリカ、日本などです。

ワインと料理の相性は、結婚にたとえて「マリアージュ」と呼ばれます。 ワインは一緒に食べる料理によって、その風味や味わいが劇的に変化するお酒で、 渋すぎると思っても一緒に食べる料理によっては飲みやすいということが起こります。

ワインを選ぶ基本は「料理」に合わせることです。味の「重さ」を合わせるコッテリした料理には、濃くて重いワインが合います。また、サッパリした料理には、スッキリと軽いワインが合います。

肉や魚の色ではなく、素材とソースの全体的な色で合わせます。たとえば、鶏肉のクリーム煮には白ワイン、サーモンのトマトソースにはロゼワイン、 ビーフシチューには赤ワインというように合わせます。

香草を使った料理ならハーブの香りをもつワイン。バターたっぷりの料理は木樽の香りのリッチなワインを合わせます。逆に、揚げ物にはサッパリとしたワインで口の中がスッキリしますし、辛いものには甘口ワインを合わせることで辛さがまろやかになります。

困ったときはスパークリングが最適です。どんなワインを合わせたらよいかわからない場合は、スパークリングを選ぶのも正解です。スパークリングは合わない食材が少ないワインで、どんな場面でも料理に寄り添ってくれます。

 8-1 プロが勧める一品

  8-1-1 フルボディ

ダークホース ビッグ レッドブレンド  価格:約1,280円

濃厚な味わいのワインを生産するアメリカ、スペイン、アルゼンチン、チリ、それぞれの産地のブドウを掛け合わせてつくられたワインです。ギュッと凝縮された濃厚な果実味と豊かなコク、そしてほんのりと感じられるスパイスの香りが特徴です。

使っている品種は、フルボディのワインに向いたカベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック、テンプラニーリョ、シラー、メルロ、プティ・ヴェルド、ジンファンデルの7種類です。

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  8-1-2 ミディアムボディ

コノスル ビシクレタ ピノノワール  価格:約788円

ピノ・ノワールというぶどうの赤ワインで、イチゴやチェリー、プラムに加え、樹木のようなスモーキーな香りを持ち、酸味とタンニンのバランスがよく、スパイス感もある豊かな味わいが特徴です。

鶏肉のローストのような肉料理や、トマトソースのパスタと相性がよく、とても飲みやすいワインです。

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  8-1-3 ライトボディ

キュヴェ・ボリー・ルージュ 750ml  価格:約1,091円

タンニンによる渋みがほとんどなく、開けた瞬間からまろやかな味が楽しめます。スッキリさわやかな酸味と軽い飲み口が特徴で、ふだん赤ワインを飲まない人にもオススメしたい1本。

塩コショウが効いた料理や、スパイシーな料理とよく合います。

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  8-1-4 白ワインの辛口

シャブリ ウィリアム フェーブ  価格:約2,479円

柑橘系の華やかな香りで、ひとくち飲むと口の中にたっぷりの果実感が広がります。クリーンでフレッシュさのあふれ、寿司飯や、天ぷら、唐揚げなど揚げ物と相性抜群です。

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  8-1-5 白ワインの甘口

ヴィッラ ヨランダ モスカート ダスティ  価格:約1,500円

飲みごろ温度は6℃前後なので冷蔵庫でしっかり冷やして飲みます。フルーティーな甘みが強く、微炭酸で後味がスッキリし、飲み慣れない方でも飲みやすいワインです。チーズケーキといったチーズ系スイーツとも相性が抜群です。

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  8-1-6 スパークリングワイン

フレシネ コルドン ネグロ  価格:約1,126円

レモンやシトラスといった柑橘系のスッキリとした香りがし、泡立ちはとてもきめ細やかでクリーミー、辛口でキレのある酸味が特徴です。クセが少なく、どんな料理にも合わせやいため、アッサリとした和食にも付き合ってくれます。

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9 ワインと健康

 9-1 フレンチパラドックス

世界規模で狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の調査をおこなうため、世界保健機構(WHO)が1989年に組織したプロジェクト「MONICA」は奇妙な調査結果を報告をしました。

冠動脈疾患、とくに心筋梗塞で死亡する人は、アジアでは少なく欧米では何倍も多いと発表しました。欧米での冠動脈疾患による死亡率を日本と比べると男性では6~12倍、女性で5~13倍も高いことが分かったのです。

人口10万人当たり日本では男性33人・女性9人、中国では男性49人・女性27人の死亡に対し、アメリカでは男性182人・女性48人、イギリスでは男性380人・女性132人が死亡しているという調査結果がでました。

ヨーロッパ諸国で比較すると、奇妙なことにフランスは冠動脈死亡率が特に少ないのです。男女合わせてもドイツやオランダの1/2、イギリスやデンマークの1/3程度だったのです。

一般的に「バターや肉などの動物性脂肪の摂取量が多いと心疾患による死亡率が高く」なります。欧米諸国の中でも指折りといわれるほど動物性脂肪を摂取しているフランスのみが当てはまらなかったのです。

1992年にフランスボルドー大学セルジュ・レナウド博士の論文が世界を驚かせました。フランス人は高脂肪食を日々取っているのに、心疾患が少ないのは毎日飲んでいる赤ワインのおかげである

この説を補強するように、日本の国立健康栄養研究所とサントリーが1994年に「赤ワインには動脈硬化を予防する効果がある」とする共同研究内容を発表し、英国の医学誌ランセットに掲載されました。

世界規模で狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の調査と結果と、食生活と医学統計上の定説との食い違いがあるので、「フレンチパラドックス(フランスの逆説)」と言われました

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 9-2 パラドックスの解明

ジョンズ・ホプキンス大学医学部の研究者たちは、キャンティ地方の約800人を実験の対象としてワインの影響を調査しました。誰もが少なくとも3世代は赤ワインを飲み、結果をゆがめる可能性のあるサプリメントを誰も摂取しないイタリアの地域でした。

研究者たちは「キャンティ地方における老化」というタイトルの研究を1998年から2009年まで進め、3つの小さな村落の60歳以上の人々の尿の中のレスヴェラトロールの量を毎日検査しました。

9年の調査の間にお年寄りたちは亡くなったり、病気にかかったりしましたが他の地域とまったく同じような状態でした。少なくともワインによって摂取されたポリフェノールの体内濃度と、炎症マーカー、循環器系の病気、ガン、死亡率一般との間にはいかなる相関関係も存在しなかったのです。

フランス南部の住民が、アメリカ人と同じよう食習慣にも拘わらず平均寿命がより長いのは、1日に1杯飲む美味しい赤ワインによるものだという、「フレンチパラドックス」が誤っているということをこの研究は証明したのです。

一方、フランスボルドー大学の研究チームは65歳以上のおよそ3800名を対象に、アルコール性認知症やアルツハイマー型認知症のリスクや死亡率との関係を3年間にわたって調査しました

赤ワインはブドウの皮も一緒につぶして発酵させます。この果皮には渋みのもとになるタンニンやフラボノイドと呼ばれる色素が含まれ、これらをまとめてポリフェノール化合物といいます。

ポリフェノールは植物由来の抗酸化成分で、活性酸素によるコレステロールの酸化を抑える効果が期待できます。コレステロールの酸化は生活習慣病の原因とされるので、抗酸化成分の摂取は健康づくりの大切なポイントと言えるのです。

研究で注目されたのが、赤ワインに含まれるレスヴェラトロール影響です。赤ワインはアントシアニンやタンニン、レスヴェラトロール、カテキンといったポリフェノールが豊富で、アルコールと一緒だと体に吸収されやすいのです。

脂肪分を多く摂取すると血液中に悪玉コレステロールと呼ばれるLDLが増え、これが酸化するとコレステロールを血管壁に付着させます。赤ワインに含まれるポリフェノールが、LDLの酸化を防ぐことで動脈硬化が進まないことが明らかになったのです

さらに、ポリフェノールのレスヴェラトロールは認知症の予防に役立つとされ、近年注目を集めています。レスヴェラトロールはピノ・ノワールというぶどうを使ったドイツワインに最も多く含まれています。

数あるポリフェノールの中でも、「レスヴェラトロール」が主役であることが判明しました。このようにして、フランス人の脂肪摂取は多いのに心臓疾患で倒れる人が少ないというフレンチ・パラドックスの謎が解き明かされたのです

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 9-3 ワインの酸化防止剤

ワインには亜硫酸塩が添加されています。亜硫酸塩にはいくつかの種類があり、二酸化硫黄、亜硫酸Na、ピロ亜硫酸Na、などがあり、いずれを使っても「亜硫酸塩」と表示されます。

ワインは、フレッシュなブドウを絞り時間をかけて果汁そのものを発酵させ、水や熱は加えずに造られています。ワインも単にブドウを発酵させただけでは、時間の経過とともに茶褐色になり、酸っぱいにおいのするお酒になってしまうおそれがあります。

ワインの場合は微生物の働きを抑えたり、酸化を防いだりするために醸造過程で何回かに分けて亜硫酸塩が加えられます。亜硫酸塩はワインの醗酵過程で微量ながら生み出される物質でもあり、ワインやドライフルーツなどの酸化防止剤として使われています。

日本は海外に比べると食品規定がとても厳しく、食品に酸化防止剤が使用されている場合は、わかりやすく表示することが義務付けられています。酸化防止剤の添加可能量はフランス等より遥かに厳しい状態です

日本製のワインには酸化防止剤(亜硫酸塩)と明記されています。外国は表記が義務付けられていないので明記されません。輸入ワインを日本へ持ち込む場合は、輸入業者がボトルの裏側に日本語のラベルを張り付け、酸化防止剤の添加量などを明記しています。

ワインは適量を飲むことで、ワインに含まれるポリフェノールが美肌や健康に効果をもたらすと言われてきました。一方で、ワインを飲むと、頭痛を起こす人がいるのも現実です。ワインを飲んで起こる頭痛には、ふたつの原因が考えられています。

ひとつ目は「アミン」という成分で、チーズや納豆、ヨーグルトなどにも含まれています。なかでもワインは高濃度のアミンを含んでいるので、科学成分に敏感な体質の方の場合は、アミンが原因となって頭痛を引き起こしてしまう可能性が高いと言えます。

ふたつ目は酸化防止剤の亜硫酸塩です。ドライフルーツや煮豆、かんぴょうなどにも使用され、酸化防止剤が頻繁に使われる食品やワインを口にしたあと、頭痛を起こす場合があるそうです。

亜硫酸塩が脳や神経さらに血管に作用して、個人差にもより頭痛を引き起こすこともあると言われます。ワインを飲んで起こる頭痛は上記のふたつが理由なので、酸化防止剤が頭痛の直接的な原因とは一概に言い切れません。

いずれの場合も頭痛を感じたときは一種の拒否反応であり、「もうこれ以上摂取できない」という体のシグナルでもあります。頭痛を感じたときは、少しお水を飲んで気持ちを整えるか、飲むのを控える方がいいと思われます。

酸化防止剤はワインに限ったことではなく、ドライフルーツや漬物、魚介加工食品などその他さまざま食品に含まれており、素材本来の味と品質を保ってくれているのです。酸化防止剤については敏感になりすぎず、ワインをおいしく楽しむべきでしょう

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 9-4 ポリフェノールの疑問

赤ワインにはポリフェノールが多いから体に良いと考えていました。主にテレビや雑誌からの情報です。ポリフェノールは、フェノールという物質を多数持っている化合物の総称で、ポリは多数と言う意味ですから、多数のフェノール化合物という意味になります。

ポリフェノールは特定の物質ではなく、構造も大きさも様々な物質の集まりで、カテキン、イソフラボン、アントシアニン、タンニンなど5千種類もあると言われます。植物性の食べ物で、ポリフェノールが含まれていないものはないほどです。

赤ワインにポリフェノールが多く含まれますが、ポリフェノールの測定方法に問題があるのです。ポリフェノールは約5千種類もあるのですからすべてを測定したわけではありません。ポリフェノールの構造が分かり安定しているものの一部を測定しています。

赤ワインにポリフェノールが多く含まれていても、胃腸の消化液でどのような影響を受けるのか、血液中にどの程度吸収されるのか、血液中から細胞へどの程度入り細胞内でどのような働きをしているのか、医学的にはっきり分かっていないのです。

ポリフェノールは、Aという活性酸素をBという活性酸素に変化させてもいます。この現象だけを見ると、ポリフェノールは活性酸素を作っているとも言えます。最終的にポリフェノールは活性酸素を、過酸化水素水と酸素に変化させて無害化しますが、過酸化水素水をヒドロキシラジカルという活性酸素に変えることもあります。

赤ワインにポリフェノールが多く含まれているので、動脈硬化になりにくく心臓病の予防になる。だから赤ワインは体に良いというのは、眉唾ものです。動脈硬化になりにくいのは赤ワインのポリフェノールだけで決まるものではありません。

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 9-5 誰もが気にすること

フランス国立がん研究所は、赤ワインを常飲する習慣が、咽頭がん、食道がん、乳がんなどの罹患率を飛躍的に高めるとしています。赤ワインが、他のアルコール性の飲み物よりも利点を持っているという証拠はなく、毎日コップ一杯の赤ワインを飲むことで口と咽喉癌の発症を168%増大させうると警告しました。

国を挙げて毎日飲む量がどんなに少なくてもあなたの健康に良い影響は与えないとして飲酒の抑制を進めた結果、1900年度のフランス人の平均寿命が男性は72.5歳、女性は81歳でしたが、2016年度に男性は79.3歳まで、女性は85.4歳まで上昇しました。

赤ワインに含まれているポリフェノールは、時間と共に歯の表面に蓄積され着色汚れの原因となります。これを予防するには、ワインを飲んだ後は水で口をゆすいで歯に付着した成分を洗い流します。

赤ワインの飲用直後は、口中が酸性になり歯の表面のエナメル質がもろくなり、歯ブラシでゴシゴシこするとエナメル質が酸で溶ける酸蝕歯になる恐れがあります。飲酒したら10~15分後に水で口をゆすいでから、柔らかめのブラシで磨くのがお勧めです。

2004年12月に鹿児島大学病院内科の納光弘教授の「痛風はビールを飲みながらでも治る(小学館)」が痛風の常識を変えました。ご自身が痛風になったことで自らの体を実験台にして定期的に採血と尿PHを計測し、すべてをデータ付きで解説されています。

実際に薬の効果がどれほどで高尿酸血症のタイプ次第でどう効くのか実験した科学的なデータを示され、尿酸値を上げないアルコールの定量は、日本酒1合は銚子1本半、ビールでは約750ml、焼酎でお湯割り2杯、ワインはグラス2杯が適量としています

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九州大学第二内科の久山町における研究で、酒を飲まない人に比べ1.5合程度の日本酒を飲む人は脳卒中の発症率が低い。少量の飲酒は善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増加させると言う結果が出ています

焼酎の好きな人が無理にビールに変えることはないでしょうが、ビールの好きな人は好きなものを適量飲んだほうがいいに決まってます。そのほうが、ストレス解消にはいいからです。

米疾病管理予防センター(CDC)によれば、1杯の量についてはビールで350ml、モルトリカーで240ml、ワインで150ml、アルコール度数40%の蒸留酒では45mlとなっています。

酸化防止剤が入っていないアルコール性飲料は焼酎です。平成14年11月1日に「本格焼酎」の定義が確立し、麹を使用して原料は穀類(麹も含む)・いも類(麹も含む)・酒かす・黒糖及び穀類、芋類を主原料とするその他原料とし、単式蒸留器で蒸留したもので水以外の一切の添加物を加えてはいけないことになっています。

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謝辞:日本ソムリエ協会認定ソムリエの、出嶋邦彦・柳原亮・石井賢・棚原淳・高木勇生の各氏が監修されている株式会社ウェブライダーの「美味しいワイン」と、サッポロビール株式会社とサントリー株式会社、ワインの製造・販売の岩崎醸造株式会社のサイトを参考にしました。ありがとうございます。

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