はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第12章 学校事務の機能化

全国学校事務研究会主催の昭和63年度「第20回全国学校事務研究東京大会」で、全国学校事務研究会北海道支部として「学校事務の機能化をめざしてー物品管理体系から出発した情報化に望むものー」発表しました。その元原稿を転載。

1 はじめに

1-1 研究課題の設定

学校事務とは教育行政事務と教育指導事務の総称であるが、一般的に狭義の教育行政事務を指す場合が多い。また、組織としての最少単位である学校内部における業務を指す場合と、教育委員会を含めた教育界全体に係わる業務を指す場合がある。学校事務職員が行う研究は業務の簡素化と合理化を含めた実務改善にその主眼がおかれる。学校内部における業務はもちろんであるが、時には地方教育行政の組織全体に及ぶものも含まれる。

過去全国各地で数多くの研究がなされ実務改善を思考した発表が行われてきた。しかし研究成果が実務改善の有効な手段として組織体に採用されることも、教育行政に反映されたこともまずないだろう。討議された意見を受けての積上げも、具現化へ向けての方策研究も忘れられている。この結果、実務改善を目指したはずの研究は研究集録に記録されたまま填をかぶり、研究者ですら再び目を通すことがないというのが現状であろう。

これらの原因は研究大会のための研究が多いことである。次に、改善すべき点を指摘するだけで手立てを含めず、具現化させるための具体的方策が示されていないことによる。全体像と与える影響を把握したうえで部分を研究するのではなく、部分があたかも全体であるかのような錯覚にとらわれていることによる。また、発表するだけの研究に終始して自ら具体化へ向けての継続努力を怠り具現化は他人まかせにしていることであろう。このように、影響力が及ぶ対象と範囲、具体化へ向けた方策と具現化への情熱のないものは捨て去られ忘れられていくのである。

全事研本部から与えられた課題は「OA化による備品管理」であった。全国各地の備品管理に関する研究は学事出版から昭和62年1月に発行された「備品管理の研究」で傾向を把握できる。また、第19回大会の研究集録にある「電算による備品管理の標準化と事務職員の役割」を参照すれば、ほぼ行政が目指そうとしている姿の概要をうかがい知ることができる。そこで北海道支部は、過去に発表された北海道における備品管理研究の一端を紹介し実践の裏付けのあるものをまず考察することとした。

道内で発表された研究集録を収集したところ、札幌市の学校事務職員が4年以上の歳月をかけて追及し続けた課題を発見した。昭和53年度から昭和58年度にかけて行われた「望ましい教育財産管理への一考察」と題した研究で、学校専用の「備品名称鑑」を作り「備品管理事務の改善」を自らの手でやりとげようとしたものである。最終的な研究発表は、昭和54年度の「札幌市公立小中学校事務職員協議会」主催による「第6回学校事務研究大会」において行われた。その後プロジェクトチームに引き継がれて継続された研究の成果は、札幌市の採用するところとなって昭和57年度から現場に導入されているのである。当時の研究集録には、今後取り組まねばならないとする課題も記録され解決を見ていない諸問題も多々残されていた。また、実践されて5年間が経過していることからこの研究に対する評価ができるまでになっている。

北海道支部の任意加入会員は過半数が札幌市に集中し、この研究に直接的及び間接的に携わった事務職員が支部会員となっている。このような環境を認識したうえで、過去に札幌市の仲間が行った研究をさらに発展させ、理論を中心にすえたものを研究対象に選定した。この結果、北海道支部の研究は「学校事務の機能化をめざして」と題し、副題を「物品管理体系から出発した情報化に望むもの」とした。

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1-2 研究の目的

学校現場に情報化社会の到来が必然的となっている今日、私達学校事務職員も意識の変革が必要な時期にきている。現状維持にばかり気をとられていると、歴史の流れの中に埋没して忘れられた存在となるだろう。時の流れに遅れ、またそれを傍観しているわけこはいかない。いまこそ時の流れを適確に把握し、時代に即応した思考と対応が望まれている時期ではないだろうか。

副題となった物品管理体系は札幌市における「望ましい教育財産管理への一考察」という研究が目指したものである。この課題が発生した土壌を認識すると同時に問題点を明らかにし、未完成かつ不完全なままになっている諸問題を考察していきたい。札幌市が行った研究対象への接近方法は、現状の問題点に着目してその原因を探りなんらかの改善策を見出そうとする現状改善型であった。これに対して北海道支部は、理想像を描いてその実現を図るという理想追及型をとる。前者は小改善に甘んじるという歯がゆさがあり、後者は現実から遊離するという危険性がある。現状改善型と理想追及型の均衡がとれていることが必要であることから、札幌市における研究を母体として物品管理とOA化の基礎理論を導きだしていきたい。

北海道支部は「OA化」を「機能化」としてとらえる。OA化というあまりにも漠然とした表現よりも、研究の視点を明確にするべく機能化という言葉をあてはめた。そして、学校事務の機能化は学校事務職員自らの手で行うべき問題であり、そのためにはどのような考え方と手順を踏むべきかを、物品管理に焦点を絞って研究しようとするものである。

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2 物品管理体系が目指したもの

過去に札幌市の仲間が行った「望ましい教育財産管理への一考察」と題した研究は、全国的に共通する諸問題を多々含み問題解決のために参考となる事柄が多いと思われる。また、北海道支部の目指した研究の母体となるものであることから、当時の研究集録と残されている様々な資料より研究の概略を抜粋し一部を要約して紹介しよう。

2-1 研究の出発点

教育活動を行うためには、校舎や屋内体育館等の施設と給食や照明等の設備、書戸棚や印刷機等の備品とテレビや地図・掛図等の教材、多量に必要な更紙や原紙等の消耗品を必要とする。これら、施設・設備・備品・教材・消耗品のすべてを教育財産と名付けた。教育財産は的確に管理しなけれはなりませんが、私達は多くの悩みを抱えている。

教育関係者の考え方はいろいろある。文部省は日本全国の学校を対象にした考え方に基づき、札幌市教育委員会は札幌市内の学校を対象にした考え方に基づくように、各学校は自校をいかにより良くするかという考え方をとる。また、学校内では管理者としての校長の考え方と、物品類の購入を希望したり利用する教師の考え方がある。

すべての人々が同じ目標に向かって努力しているが、その立場によって考え方は少しずつ違ってくる。私達はいろいろな立場での考え方を尊重しながら仕事を進めていくとどうしてもつじつまが合わなくなってくる。

現状をながめて見ましょう。購入の要望がどれはど強くても、会計検査があるといわれるまで包装されて保管されたり、一度も使用されずにホコリをかぶったままの教材。教育的であっても教育とはまるでかけはなれた存在となってしまう趣味し好を発展させた購入物や、使いこなすことのできる人がいなくなった高価な備品。効果があることを認めても機器の扱い方を知らされなかったり、こわしたままで放置されている教材。そして、利用価値がありすぎるために自宅保管となりがちな備品が以外にある。

あるべき状態からかけはなれた姿を見るにつけ、このままで良いのかと私達は憂う。実務を正確に処理しようとすれば、もっと基本的な事柄でさらに悩む。私達は管理者ではありませんし、責任のなすり合いをしたところで無駄なことを知っている。さまざまな立場での考え方は理解できるし、実務上の問題点は身体が知っている。しかし、このままの状態を続けることに私達は耐えられなくなっている。

だれかが正しい姿に直してくれるまで待っていることはできないん。望ましい姿というものは、実務経験のない者に思いつくはずがない。苦しみのなかから私達は、現状を的確に把握したうえで改善へむけてひとつの方策を考えた。それが「望ましい教育財産管理への一考察」と題し、「札幌市立学校専用物品標準名称鑑の作成と物品管理事務の改善」をめざすという、もっとも基本的な事柄の研究である。

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2-2 現場の苦悩

学校運営上必要となる管理用備品を購入した場合は、札幌市備品名称鑑から備品の名称を選択して、備品整理力ードやラベルに記入するす。備品名称鑑のどの名称にも含まれていない新製品は、札幌市の会計室長と協議のうえ追加することになる。しかし問い合わせたという話も、追加を許可されたという連絡も、私達は聞いたことがない。全学校からその都度追加の協議を依梗されれば、会計室の業務は停止せざるを得なくなるだろう。したがって各学校では、会計規則の主旨に基づいて独自の追加を考察することになる。私達の悩みの出発点はここから始まった。

2-2-1 独自の追加による混乱

人間は時として気づかないためにミスを犯します。便利さや善意からでたとしても混乱の原因をつくってしまうことがある。

管理用備品購入費で「ベッド」を購入しました。備品名称鑑の索引にベッドは載っていないん。病人が使用するものですから「医療用具類」の「へ」に追加し分類番号を「へ-11」と定めた。正しくは、「卓子・椅子及び台類」の「し-31・寝台」とすべきである。

屋内運動場の改築に伴って大型の映写幕を購入した。索引にないので「雑用具類」に追加して「え-3・映写幕」とした。他の映写幕は「雑用具類」の「すー2・スクリーン」となっていた。

外国語が嫌いな人は「無線機」と付け、漢字の嫌いな人は「トランシーバー」と付け、他の人は「携帯用無線電話機」と付けることもある。性能が多少違っても、同じ品物である。

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2-2-2 異なる大分類と中分類番号による混乱

札幌市備品名称鑑は備品を種類に大分類している。カード方式を導入するに当たり、五分の一にカットされたカードを効果的に活用するには、22分類よりきりの良い「十大分類」を選ぶだろう。これも、わかりやすさ便利さから生まれた。

学校では、製図・医療・研究・土木・調理と食器・車両・被服・雑などの大分類をまとめて「雑用具類」とした。処理の仕方を誤らなければ、伸縮自在機・自動きり・写真機・瞬間湯沸機は「し一3」、松葉づえとマイクロホンは「ま-2」になる。この結果から備品整理力ードは重なり、同一分類番号で形状も用途も異なる備品が存在することとなる。

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2-2-3 備品の名称による混乱

同じ形をしたものを同一形状品というが、使用目的別に呼ぶ場合がある。長卓子を会議用机と名付けた。会議室が教室に転用されると図書室へ移動して図書閲覧用机となる。更新時には図工室へ移されて版画用ルーラーセットをのせる台となった。当然のことながらインク類が付着して真っ黒に汚れてしまった。この結果、備品整理力ードでは20卓あるはずの会議用机は、会議用として使用できない会議用机を含んでいることになる。折畳み椅子を会議用椅子とかパイプ椅子と名付ける場合もあり、同一形状品の調査は不完全とならざるをえない。

もっとも不思議なのは、印刷機械か印刷機とすべきものを騰写式輪転機とか輪転機と呼んだり、上皿式自動秤と自動上皿秤の区別がわからないこと。巻尺とメジャー・腰掛けとソファー・製版機とファックス・複写機とコピー等のように、どちらを選択すべきか迷うものがありすぎること。

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2-2-4 備品か設備品かによる混乱

特別教室についている換気扇が破損しました。同等品を購入したところ3千円以上のため備品扱いとなる。その後、教室につける換気扇を5台購入したところ、値引幅が大きく3千円未満であったため消耗品扱いとした。これにより、校舎に最初からついていた換気扇と備品の換気扇・消耗品の換気扇というように、三種類の扱いが生まれた。換気扇の数量調査がきたらその都度かぞえて歩かなければわからないという事態になる。しかも、便所のダスト換気扇とプルーの換気扇は数に含めたかは、調べた人以外にはわからない。

消防用ホースの購入はもっと深刻である。消火設備の一部と考えれば、校舎修繕費で購入した消耗品。価格を考えれば備品となる。同じ型であっても、消火設備としての消防用ホースと消耗品としての消防用ホース、備品としての消防用ホースがでてくる。

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2-2-5 備品名称鑑の備品名による混乱

札幌市備品名称鑑から備品名称を選択しても混乱が生じる。どちらの名称を使用すべきか迷うものは、録音機とテープレコーダー・電気ギターとエレキギターである。どんなものかわからないものは、掛図箱・教材入箱・図画箱・保管箱・理科器具箱や音楽椅子・並椅子などである。メロディオンをさがしてもピアニカしかなく、正式名称である鍵盤ハーモニカは載っていない。

園児用机はあっても児童生徒用の机や椅子は見当たらない。当然のことながら、それぞれがそれぞれの好みで備品名称鑑へ追加し、新製品は商品名で追加されることが多いことから益々混乱が生じることになる。

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2-2-6 名付け親の転勤による混乱

学校にあるすべての備品は備品整理力ードに記載されている。確実に記録されていると信じても、その癖品がどの分頓になんという名称で記載されているかは記録した者にしかわからない。発注者が商品名や好みの名称をつけてしまえば、最終処理をする者はカードヘそのまま記載してしまう。まして、具体的な規格が記入されていなければ、どんなものか判断できない事態が生ずる。担当者にも良くわからないことが多いのですから、後任者にわかるはずがないということになる。

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2-2-7 教材品目改定に伴う混乱

教材の大分類と中分類番号は、教材整備台帳の番号を利用して分類していた。この配列は恒久的でないため、品目配列の変更や教材指定除外品がでた場合はカードの分類番号を訂正しなければならない。備品扱いから消耗品扱いへの変更もあり、その都度カードとラベルを変更することになる。特に教材指定除外品は、教材用の備品整理力ードより管理用備品整理力ードへ転記してラベルを更新することになるす。

これらの悩みは、ひとつひとつ考えるならたいした問題ではないだろう。しかし、それぞれが複合しあうことで多くの混乱を引き起こしている。会計規則に基づき、備品名称鑑に照らして、市教委の指示どおりに、誤りなく処理しているという自信は誰にもなく正しい姿に戻そうとしても手のつけようがなくなっていた。この事実をすなおに受け取れるのは、担当者である学校事務職員であると当時の研究集録に述べられている。

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2-3 改善へ向けての組織作り

2-3-1 暗中模索と挫折

誰もが勤務している学校だけでも良くしようと努力を重ねてきた。しかし、どこから手をつけるべきか苦慮しているうちに、担当者にわからないことが他の職員にわかろうはずがなく、しだいに孤立無援となっていく自分に気がつく。意欲は減退して、いいようのない憤りがつのり、持っていきようのない悩みと怒りは「札幌市備品名称鑑」に叩き付けられた。備品名称鑑こそ混乱を起こす原因であり、諸悪の根源であるとされていった。

改善へ向けて同様の悩みを持った者が集まり、学校専用の備品名称鑑をつくろうという動きが起こった。しかし、あまりにも多い物品名称と呼び方の違い、備品名称鑑よりも備品名称辞典となるなどの障害に、意欲を持った研究は日の目を見ずに消えていった。改訂版をつくるよう市教委へ依頼したことや会計課と話し合ったこともあるが、どうにもならない状態が続いていた。

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2-3-2 研究の組織づくり

53年4月、あきらめの中から再び機運が起こってきた。目分速を救うのは自分達でしかないということに気づいたのであるす。

当時の札幌市は七行政区に分かれ、各区に札幌市公立小中学校事務職員協議会(略称:札事協)の地区研究部と、札幌市教育研究協議会(略称:札教研)学校事務研究部の地区研究推進委員会という組織がある。札事協というのは、札幌市立の小中学校及び養護学校の小中学部に勤務する学校事務職員が全員加入している団体で、学校事務の研究と研修及び会員相互の親睦を目的としている。また、札教研は、札幌市教育委員会・札幌市小中学校長会・札幌市教職員組合の三団休によって組織された教育研究団体である。札事協は学校事務職員のみで構成され、札教研は校長・教頭・教諭・学校事務職員の任意加入で学校事務職員は一部加入していないん。札教研組織は教科研究部と教科外研究部の二本建てで教科外研究部のひとつが学校事務研究部である。

この二つの組織が独自の研究課題に取り組むよりも、団体という枠を外して体面にこだわらなければ研究の内容が充実することは明白である。これに気づいた四地区は双方の役員が話し合い,共同で当面二年間の研究を推進することとなった。研究課題が公表されると同様の課題を持った地区同士が共同で研究を進めることになり、合同の研究推進委員会が発足した。

このようにしてできた研究組織を、札幌市教育研究協議会学校事務研究部及び札幌市公立小中学校事務職員協議会合同、白石・北・南・中央、四区協同研究推進委員会(略称、四区協同研究推進委員会)という。

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2-3-4 具体化をめざして

四区協同研究推進委員会の最終研究発表は、事務職員全員の参加による研究として捉えられた。昭和55年度は札事協に特別委員会が設置されるとともに、高等学校と幼稚園に対しても共同研究への参加要請が行われた。

組織が幼稚園・小学校・中学校・市立高等学校参加という全市的な規模へ広がり、研究者達の情熱はついに市教委総務課職員の参加を促した。四区協同研究推進委員会によって始められた研究は、備品管理拡大研究推進委員会へ受け継がれ、具体化へ向けて研究の継続がはかられた。

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2-4 問題解決への研究の流れ

2-4-1 混乱原因と発想の源泉をさぐる

四区協同研究推進委員会は前述の七点に集約される混乱原因を探りだした。続いて学校現場に即応した備品名称鑑をつくるべく研究が続けられた。過去の研究が挫折したのは、備品名称辞典となりやすいことだった。これを解決すべく暗中模索の推理はついに発想の源泉を導きだした。札幌市の備品名称鑑は備品名称辞典ではなく、全市共通の名称を使用することによる備品管理を目指したものであり、どの職場でも大分類・中分類・備品名称を同一のものにしようという発想が原点にあった。これを忘れ去り、融通性を与えたことによって必然的に混乱という副産物が発生した。単純なことでしょうが、これが研究を成功させる鍵だったた。備品名称鑑がつくられた時点へ遡って、同様の発想と手順を踏みながら学校専用の備品名称鑑をつくろうと考えた。

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2-4-2 異名同一品の発見

学校には数多くの物品がありそれらはおおむね備品と消耗品に分けられる。備品は管理用と教材用の二種頓に分けられ、教材用備品は一般・養護学校一般・理振・産振・算振・数振などにわけられている。

四区協同研究推進委員会は小中学校の教材名称(一般教材・理振法・産振法・算振法・数振法)と養護学校及び養護学級の教材名称一覧表を作成した。また、札幌市備品名称鑑より学校に必要な備品名称を選択したものと、登載もれ備品名称の一覧表を作成していった。つぎに、各学校の備品整理力ードに記載されている備品名称を調査しこれらをまとめた一覧表を発表した。

五十音順の一覧表作成は、商品力タログを参照しながら行われた。その作業のなかから教材用備品の名称は、同一品に異なる名称が使用されていることを発見した。札幌市独特の研究を進展させる鍵はこの作業を通して発見された。

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2-4-3 本来的な性格

学校と一般官公庁が異なる最大の特徴は、教材教具などの教育活動に必要な固有の物品を数多く保有している点にある。しかし、管理用備品も、教材用備品も「備品」であることに違いない。管理棟で使用するから、授業に使用するからというのは、主たる使用目的を指しているだけでないか。区別するのは用途よりも、その備品をどの費用で購入したかということであり、備品カードやラベルに表示しておけば、管理用と教材用にカードを分ける必要はなくなる。

管理用と教材用の備品整理力ードをひとつにまとめることによって、不可能であった現有数と同一形状品の把握は可能となりカードは確実に減少する。しかも、教材整備台帳頓で教材用備品の充足状況を把握し、備品整理力ードは全財産の把握という本来の性格を発揮するだろう。

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2-4-4 統一名称の必要性

備品には用途や形状をあらわす名称がついている。マイクロメーターを例にすると、ねじマイクロメーター・対物マイクロメーター・接限マイクロメーターなどがある。これらの頭文字を使って分類すると、「ね・た・せ」に分けられます。時には「ま」も必要になるう。

そこで、備品名称を統一しようという発想が生まれた。マイクロメーターは「マイクロメーター」としてまとめ、規格欄で「ねじ・対物・接眼」と分類する。これにより、備品整理力ードは一種類ですむ。「が・こ・せ・で・と」のカードを調べなくても、ストーブを見れば「ガスストープ・コークスストーブ・石炭ストーブ・電気ストープ・灯油ストープ」のすべてが記録されていて便利と云えよう。

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2-4-5 分類の大原則

物品管理における混乱防止のためには、すべてのもととなる「原則」が必要である。数学の公理と同様に考えることができるような、法令や規則等に準じて明確な「大原則」をつくらなければならない。この大原則をもとにして、用途別や形状別の大分類と定義を考える。これらをもとに備品を分類する。

まず分類の大原則である施設と設備品の定義と範囲を定める。つぎに、設備品を細分化して混乱防止のうえから、分類の根源ともいえる「性格付け」を行う。すなわち、群という大分類をつくり、大分類した物品を細分化したものを中分類と呼ぶ。つぎに中分類された物品をさらに細分化して分類したものが小分類であり、形状や用途により実務上混乱をきたさないようにまとめた統一名称で表示する。

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2-4-6 標準名称への発展

統一名称としたものを、同一形状品の使用目的別名称や日本語と外国語、商品名や製品名と必要に迫られてまとめるために付けられた名称等を一定の原則に照らして検討した。その結果、統一名称をさらにまとめて実務に支障のないように考慮した名称を標準名称と名付けることになった。これが分類の最終段階に当る。

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2-4-7 物品管理事務の改善

それまでの管理用備品と教材用備品に区別したカード方式は、十大分類では機能を発揮できなかった。管理用の備品整理力ードを調査したところ、まるで利用されていない分類が多々あった。標準名称による分類をカード方式に当てはめると同様の結果を生ずることが懸念される。カード方式の欠点は、カードが抜き取られたらどうにもならなくなることであるが、カード方式にはそれなりの利点もある。この利点を最大限に活用し、標準名称による分類を生かすために「備品出納簿・備品使用簿・備品整理票」の改善が検討さた。その結果、備帯出納簿と備品使用簿はルーズリーフ方式が良いとされ、ラベルはラミネートをかけてそれまでの二分の一という大きさにすべきとの結論に達した。

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2-4-8 研究の具現化を目指して

白石区に端を発した研究は北区の積極的参加を得て推進計画が作成され、中央区と南区の参加を得ることができた。こうして四区の共同研究となった「望ましい教育財産管理への一考察」は、さらに札教研と札事協という二大組織の合同研究課題となった。この結果、札教研の全体集会における発表、札事協の学校事務研究大会での発表が数回もたれ、さらに、札事協の全体研修会での説明、各区研修会での説明等が数多くもたれ、幼稚園を初めとして高等学校を含めたアンケートによる意見聴取や現地検査などももたれた。また、札幌市役所会計室との合議や教育委員会担当者との勉強会も開催され、あらゆる意見を集約してまとめられていった。そして、備品管理拡大研究推進委員会へと受け継がれ、具現化へ向けての継続研究が続けられた。

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3 札幌市の研究に対する評価

札幌市の学校(園)専用「物品標準名称鑑」は学校事務職員の手によって作成された。また、それに伴う一連の物品管理体系の改善も学校事務職員の手によって考えられた。しかもそれらが行政官庁の採用するところとなり、昭和57年3月に会計規則が改正されて翌4月から施行されて現在に至っている。これが自らを救うのは自らの手でを実践した札幌市の研究であった。備品出納簿と備品使用簿およ備品標準名称鑑

当時の記録によれば、この研究は単なる事務改善だけではない。物品標準名称鑑も物品管理体系も機能化を指向した研究であることが理解できる。発表された時点でほ不可能であっても、将来的にほ情報機器による備品管理が可能となるように配慮されていた。しかし残念なことは、いまだにこの研究は完結していないのである。

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3-1 理論的分野の評価

物品標準名称鑑の物品区分は、備品の部・消耗品の部・附帯設備の部という三部で構成されている。備品と消耗品の区分は備品の部及び消耗品の部の説明に基づいて判断する。標準名称と包含品名・消耗品その一のそれぞれに同一名称が使用されている物品で特に説明が付されていない場合は「特殊な形状の物品を備品」とし、「簡易な形状の物品」を消耗品とする。なお、消耗品そのこに区分される物品は、備品とはしがたくかつ消耗品その一と明らかに異なるものであって、市教委総務課経理係と協議したのち消耗品そのこと決定された物品をいう、とされている。備品と附帯設備品の区別は主として異動できる物品を「備品」とし、基礎・配線・配管等のエ事を必要とする固定式の物品を「附帯設備」としている。

備品は備品出納簿へ消耗品は消耗品出納簿へ記録される。しかし、附帯設備の扱いは定められていない。混乱の原因となった換気扇や消防ホース等は附帯設備としてまとめられているが、この大分類に属している物品はどのように扱うのだろうか。研究集録には「附帯設備台帳」の必要性が説かれ、その試案も提示されている。しかし、昭和58年度以降は検討されることなく、試案のままとなっている。したがって、この研究は三分の一が未完成のままであるといわざるをえないのである。

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3-2 実証的分野の評価

小中学校における保有備品名称調査は様々な条件を定めて実施された。基準となる条件は「5・10・15・20・25・30」という学級規模別である。これに加え「電気・ガス・コークス・石炭・灯油」の暖房形態別、給食諷理・末調理校別、プール及び格技施設保有別・飼育栽培関係施設保有別毎に対して、アンケート調査が実施されている。調査票に記載された備品名称で不明なものは直接その学校へ出向いて調査された。また、教材カタログと商品力タログは百冊以上収集され、同一品異名の調査が実施されている。さらに、幼椎園と高等学校へのアンケート調査と実地調査は4回以上実施されたという。

このようにして収集整理された資料をもとに、札教研の全体集会における発表は4回札事協の学校事務研究大会での発表は2回行われた。札事協の全体研修会での説明は6回、各区ごとの研修会での説明は13回行われている。市役所会計室との会議は3回、教育委員会担当者との勉強会ほ数限りなく行われた。この結果から物品標準名称鑑は、アンケート調査のみに頼ったものでなく、ありとあらゆる調査資料と意見を集約して作成されたものであるといえよう。

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3-3 実験的分野の評価

物品に標準名称を使用することにより備品整理力ードは減少するか。また、教材整備台帳規は教材用備品の充足状況を把握し、備品整理力ードは全財産の把握が可能かどうか二校が抽出されて実験が行われた。この結果、備品整理力ードは従来の五分の二が減少し、六ヶ月の試用期間を経て問題が発生しないことが確かめられた。さらに、教材用備品は児童生徒が直接手を触れるものを大幅に消耗品その一へ所属させたため、消耗品出納簿の使用枚数は百分の-に減少することが判明した。これは、国庫補助の備品を壊さないようにしまい込むよりも、積極的に活用を図るうえに必要な処置であった。管理用も教材用も備品は使用されてこそ役立つものであり、破損に伴う修理費用が多少必要でもそのはうが理にかなうという発想である。

次に、備品出納簿と備品使用簿はルーズリーフ式となり、専用の四穴バインダーに収納されている。備品出納簿には分類番号と標準名称が印刷されている。分類番号は将来追加できるように欠番があるため、頁数は独特な工夫がされている。これらのことから記載を要しない部分はバインダーより取り外して保管していても、即座に復元することができるよう配慮されている。特に、備品使用簿は「標準名称分類番号別・使用保管者別・使用保管場所別」の三通りに配列可能な配慮がなされていた。この点に情報機器利用による機能化が読み取れるのである。また、備品整理票(ラベル)は従来のものより二分の一に縮小され、切り替えを容易にするため品名の記載を要しない(昭和62年度から記載可能に変更)方法がとられた。縮小とラミネートの被膜利用に伴い、ラベルがはりやすくなり汚染防止が図れるように改善がなされている。

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3-4 歴史的分野の評価

現場の苦悩によって明らかにされた問題点のうち、継続的に行われなければならないのは新製品の追加分類である。最終研究発表で物品標準名称鑑は、最低5年毎に改定が必要であると述べられている。現代は科学技術の発展がめぎましく5年前には考えられなかった製品が多々生産されている。備品に様々な機能が付加されたり複数の備品が一体化したり、高価で手も足もでないと思われていた備品が身近なものとなっている。したがって、新製品をどの標準名称で分類するか、標準名称の新設は必要ないか等を検討する必要があり、その研究組織を設置しなければならないだろう。昨年度から札事協に備品管理特別委員会が設置されて検討が開始されたが、情報機器を利用しなければ物品標準名称鑑の改定は不可能に近いことが判明している。

市立の高等学校ではコンピュータが事務室に配置され、事務の簡素化と能率化に活用が義務付けられているという。コンピュータによる備品管理をめざすのは自然の成り行きであり時代の要請でもあろう。各高等学校とも物品標準名称鑑を入力して、備品出納簿と備品使用簿を出力できるようプログラムを組んだ。このプログラムは取り引き業者に発注したものと、教師に依頼して作成されたものの二種類がある。情報機器の機種の違いは費用を削減できず、どの高等学校にも物品標準名称鑑のすべてを入力する業務を発生させた。しかも、それぞれが独自のコンピュータ用出納簿類を考案するにことにより、会計帳簿としては承認されない状態にあるという。

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3-5 研究継続を阻むもの

札幌市の事務職員が情熱を傾けた研究は、その課題名が示すように「望ましい教育財産管理への一考察」として終わっている。未完成のままに放置されている部分と情報機器利用による弊害が現れた部分がある。また、継続検討を始めざるを得ない面が現れている。新製品の追加分頬は別にしても、この研究の基礎がいまだ完結していないところに問題が発生するのである。

研究のめざした全体像を忘れ、物品標準名称鑑と備品出納簿頬の採用成果に目を奪われて部分の成功で満足したことが原因といえよう。しかも、全事務職員の共通理解を通して推進されたとはいえ、完全な共通理解はありえないことを示した事態も発生している。

会計規則改定の原案提示中に新様式が出現し、採用のよびかけがされるという事態が生じた。当然のことながら事務職員の総意に基づく要望として、札幌市会計室へ原案を提示している研究推進委員会は当惑した。研究推進委員会に対する提案であれば問題なかったが、札事協の役員会の承認を受けての原案提示後であることから採用の呼びかけを中止させるべきとの意見が多数をしめた。この結果、説明不足の面と表現の不十分さから、改善のための研究を妨害したという不審感が一部に定着している。手続きと時期の配慮さえしていれば、研究は生きたものとなり得たはずである。

事務職員の共通理解のもとに改善が図られたとはいえ、切り替えに伴う作業は膨大である。市教委総務課長名の文書は全学校職員の協力を要請していた。大半の学校では全職員あげての作業とはなりえず事務職員の負担にゆだねられる結果となっている。このため、仕事を増加させたという風潮が現れはじめ、以後の研究に対する警戒感が定着し始めているようである。

この「望ましい教育財産管理への一考察」は、自らの手で実務の改善を行おうとしたことから出発した。延べ百人以上の参加者一人一人が研究の当事者であった。仮説を提示する者と研究範囲からの逸脱を監視する者。道内外からの資料を収集する者と整理した資料を提供する者。啓蒙方法を考える者と定着化への技法を苦慮する者。情報機器利用による当時としては夢物語を望む者と法制面から慎重な者。様々な意見と資料が討論によって集約され、しだいに姿と形を整えていった。そこには一人の発想がすべてを決するという考えはなかった。研究参加者はひとつの目標に向かって、自由に自己の考えを述べることができた。この情熱が持続できれば研究は完成していただろう。

現実は、前述したような諸条件が重複することによりしだいに情熱は失われていった。実務改善のみならず、物品管理の機能化までも指向していた研究はこうして時の流れの中に埋没していったのである。

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3-6 理論の再検討

昭和59年度に札幌市教育研究所は「コンピュータの学校利用に関するプロジェクト」を発足させた。教育研究所に導入された「NEC-ACOS-250型」機の活用をはかるための処置である。プロジェクトチームは、札幌市教育研究所第一研究室の研究員を中心に、小中学校及び高等学校に勤務するコンピュータに関する知識のある教諭によって構成され、学校事務職員も加えられた。とはいえ、プロジェクトの研究は「CAI」に主流がおかれたことから学校事務職員は独自の研究課題を持たざるを得なかった。そこで、仲間のうちからコンピュータの知識があるものを募り、独自の研究機関として「学校情報処理体系研究推進委員会」設置の許可を得たのである。

この研究推進委員会は、研究課題を「コンピュータによる備品管理」に設定し、教育研究所内にある「NECのパーソナルコンピュータN5200-05」を利用することにした。既成のプログラムである「ランファイル」を利用して、物品標準名称鑑のデータをすべてを入力していった。さらに、数十種類の商品力タログから学校で必要な備品名称を収集し、登載もれと新製品名称を分頬入力していった。しかし、フロッピィには記憶容量の限界があり、データ量の関係からか分類とプリントアウトに時間がかかりすぎ、頻繁に教育研究所へ出向くことも不可能であった。そこで、異なる機種でも稼動するJIS-COBOLによるプログラムを編成し、データを再入力することが考えられた。しかし、JIS-COBOLで稼動する機種は高価であり、現実にコンピュータを占有できない状態でほ机上の空論であった。プログラムを編成するための学習が続けられたが、結局はこの研究も自然消滅していったのである。

私達は「学校情報処理体系研究推進委員会」が入力した、データのフロッピィを譲り受けた。これから学校物品標準名称鑑のデータのみを取り出し、札幌市において研究された理論をもとに各種の実験を試みた。出納簿・使用簿・整理票との関連、物品活用の促進と照合の即時性、新製品の追加と分類の適確性を検討した。引き続き備品の選定、購入手続き、受入、使用説明、活用、保守点検、修理、廃棄等、備品の一生ともいえる一連の管理事務を想定した実験も行った。更に、札幌市立高等学校で入力された物品標準名称鑑と追加品目のデータをもらいうけ、高等学校で考えられたコンピュータ利用による物品管理方法をも検討してみた。

この実験と検討結果から私達は次の結論を得た。札幌市において考えられた物品管理体系理論は、物品標準名称鑑を編成するためのものであって、物品管理の実務改善という目的達成には不向きである。-応の方向は示されているが、理論として完成された状態にはなっていないのである。物品管理のための理論は、教育界全体を見通して研究しなければならない。物品標準名称鑑を編成するだけでは、物品管理にほならないのである。名称鑑を編成してから管理を考えるのではなく、管理の全体像を把握してから名称鑑を編成すべきである。しかし、札幌市がめざした研究の方向と、研究推進方法から学ぶべきものは多い。また、評価にあるような問題点と、以前解消されぬままになっている事項も把握できた。北海道支部は札幌市の研究を母体として、物品管理の原点というべき理論を確立させるべく仮説を次のように考えた。

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4 機能化のための理論

4-1 仮説の設定にむけて

物品とは一般的に備品と消耗品の総称として使われる。機能化のための理論を考えるにあたり備品管理にのみとらわれていると、備品と消耗品の区別や施設と設備の関連が不明確になりやすい。全体からみれば、あくまでも一部分であり個にあたるのが備品管理である。したがって、全体と部分の関連や個と個の関係を明らかにしなければ、機能化のための理論は有名無実のものとなってしまう。理論を確立するには個々の事柄を有機的に結合させ、各要素が共通の目的を持って作用し合う状態を創りださなければならない。全国的な視野に立った共通の概念を作りあげ、個々の事柄の因果関係を明確にする必要がある。

機能化を目指すには、独自性や特色をだすことにとらわれると失敗する。同一業務を遂行するうえで、処理形態が異なるというのは複雑化繁雑化以外のなにものでもない。業務の簡素化と合理化は、処理形態を画一化させることが必須条件となる。しかも、画一化することによって業務の軽減がはかられ、調査続計はもちろん必要な資料の入手が可能となり、教育界全体に利点を与えうるものでなければならない。

機能化のための共通の概念を創るうえで障害となるものは、各地の市町村会計規則であるといわれる。これまでの研究の拠り所としていた市町村会計規則は、学校を対象として生まれたものではないのである。市町村の財政規模に基づき公費の適正な執行をめざして作られた規則を、学校に当てはめたというのが実態である。しかもその規則が、物品に関する明確な理論に裏付けられているとはいえないのである。手続きは当然のこととしても物品の基準と取り扱いについて、各市町村の会計規則が意なるという事実がこれを証明している。したがって、市町村会計規則の調査によって解釈の誤差等が発見されても,それが直ちに研究の障害とはならないのである。むしろ新しい規則を誕生させるべく、気概をもって理論研究に取り組むことが肝要であろう。

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4-2 原理の設定

理論を確立するために、根本となる「原理」を設定することから始める。学校というものを外側からながめると人と物から成り立っている。人はいうまでもなく児童生徒と教職員で、児童生徒がいなければ教職員は必要なく、当然のことながら学校はその存在価値を失う。学校を物に例えると、包装紙と箱及び中身に分けて考えることができる。包装紙にあたるのは土地、箱にあたるのは建物とその他の工作物であり、箱の中身は人間と備品や消耗品にあたるといえよう。理論の出発点は論証ぬきで真理といえる根本命題を「公理」として設定することである。そして、公理の内容を補足するための「定理」を順次組み立ててみよう。

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4-2-1 学校に対する定義

◎ 公理1.学校は「人的要素」と「物的要素」で構成されている。
 ◎ 公理2.人的要素は「児童生徒」と「教職員」及び「利用者」に大別される。
 ◎ 公理3.物的要素は「施設」と「設備品」に大別される。

これが元になる定義である。学校にあるものすべてを考えることから、紛らわしさを網さけるために「設備品」という言葉を使用した。これは、単に備品と消耗品のみを指すのではなく、広範囲を網羅するために設定した呼称である。

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4-2-2 人的要素の定義

○ 定理1.人的要素の「児童生徒」は、「園児及び児童生徒・その保護者、並びにその者が組織する学校名を冠した親睦と学校後援を目的とする団体」に細別され、その範囲は次による。
 ① 園児及び児童生徒
  a 現に学校で教育を受けている者、並びにその児童生徒が組織する団体
  b 属していた学校の卒業生、並びにその卒業生が組織する団体
 ② その保護者
  a 児童生徒の保護者、並びにその保護者が組織する団体
  b 属していた学校の卒業生の保護者、並びにその卒業生の保護者が組織する団体

○ 定理2.人的要素の「教職員」は、「その学校に勤務する者及びその学校に勤務していた者、並びに、それらの者が組織する学校名を冠した親睦と学校後援を目的とする団体」に細別され、その範囲は次による。
 ① その学校に勤務する者
    現に勤務している職員、並びにその職員が組織する団体。
 ② その学校に勤務していた者
    過去にその学校に勤務していた職員、並びにその職員が組織する団体。

○ 定理3.人的要素の「利用者」は、「その学校を利用する者、並びにその団体」に細別され、その範囲は次による。
 ① その学校を利用する者、現に許可を受けて学校を利用している者。
 ② その学校を利用する団体、現に許可を受けて学校を利用している団休

定理1には「児童会」や「生徒会」と呼ばれる団体が含まれ、「卒業生」や卒業生がつくる「同窓会・クラス会・学年会」等も含まれることになる。また、在籍している児童生徒の保護者と教師によって構成される「PTA」等の団体はもちろん、卒業年次の「父母の学年会」やそれに現した「後援団体」等も含まれる。周年行事時に組織される地域住民の「協賛団体や後援団体」も同様に含めて考えることになる。

定理2でいう「職員」は文字通りであるが、転勤による異動者や退職者も含め、「職員親睦団体」や「親睦後援会・周年行事時の後援団体」も含めて考える。

定理3には、都道府県や市町村の選挙管理委員会をはじめ、学校開放事業等で利用している者や、地域のスポーツ少年団等も含まれることになる。このように、児童生徒と教職員のみに限定せず学校を利用する者すべてを網羅しようとするものである。

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4-2-3 物的要素の定義

○ 定理4.物的要素の「施設」は、「長期にわたって土地に固定された状態で利用され、改廃時には大がかりな工事を必要とするもの」を指す。

○ 定理5.「施設」は、「土地・建物・その他の工作物」に細別され、その範囲は次による。
 ① 土地
  a 建物敷地           b 校庭
  c 屋外運動場(グランド)    d コート類
  e 実験実習地          f 排水路(マンホールを含む)
 ② 建物
  a 校舎(一般校舎及び技能教育実習室・実験室・給食調理室等を含む)
  b 屋内運動場(体育館・格技場・講堂等を含む)
  c 水泳プール及びその付属施設
  d 温室及び畜舎
  e 簡易な独立構造物(外物置・楽焼小屋・燃料貯蔵小屋等を含む)
  f その他、渡り廊下及び吹き抜けの廊下
 ③ その他の工作物
  a 屋外実験実習装置(流水の実験装置・スキー山・築山を含む)
  b 屋外の遊運動具(ぶらんこ・滑台・雲悌・鉄棒・バックネット等を含む)
  c 池・花壇
  d 自転車置場
  e 掲揚塔
  f 井戸及び貯水池
  g 囲障(防球用柵・塀・門柱等を含む)
  h その他、前記に準じて土地に固定され、容易に移動ができないもの

施設と呼ばれるものの定義は以上である。機能化のためには厳密な範囲と意味が必要であることから、可能な限り施設名を網羅することが必要である。

○ 定理6.物的要素の「設備品」は、次の条件を満足させるものをいう。
 ① 比較的長期にわたって施設に固定された状態で使用され,改廃時には比較的大掛かりな工事を必要とするもの。
 ② その品質又は形状を変えることなく、比較的長期に亘って継続使用できるもの。
 ④ 生命のあるもの。

○ 定理7.「設備品」は「付帯設備・備品・消耗品・図書・生物」に大別される。

○ 定理8.付帯設備は「比較的長期にわたって施設に固定された状態で利用され、改廃時には比較的大掛かりな工事を必要とするもの」を指し、その範囲は次による。
  a 給電設備(受電・変電・分電・配電設備の総称)
  b 動力設備(昇降機・給水・汲上・消火用機械設備の総称)
  c 防災設備(防火・防犯・感知・警報・排煙・消火・避雷・避難誘導器具設備の総称)
  d 調整設備(冷房・暖房・換気・空調設備の総称)
  e 通信設備(受信・発信・送信・放送・電話設備の総称)
  f 照明設備(屋内外の照明設備の総称)
  g 衛生設備(受水・給水・排水・散水・汚物設備の総称)
  h 給湯設備(温水器・温水設備の総称)
  i 給食設備(調理・消毒・保存設備の総称)
  j 教授設備(大黒板・大掲示板設備の総称)
  k 運動設備(遊具・体力増強・運動訓練設備の総称)
  l 配線設備(地中線。架空線設備の総称)
  m 配管設備(地中管。架空管設備の総称)
  n その他、前記に準じて施設に固定され、容易に移動ができないもの

○ 定理9.備品は次の条件を満足させる物品を指す。
 ① その品質又は形態を変えることなく、比較的長期にわたって継続使用できるもの。
 ② 単体又は複合体で、所定の効果を発揮するもの。
 ③ その他、前記に準じて簡易に固定されるもの、又は容易に移動が可能なもの。

○ 定理10.消耗品は、次の条件を満足させる物品を指す。
 ① 使用することによりその品質及び形状を損ない、その全部又は一部を消耗する物。
 ② 備品の効率を高めるための付属品で、内部又は外部に組み込むもの。
 ③ 施設・付帯設備・備品の部々品。
 ④ ほヾ一年以内で、その目的を発揮し終えるもの。

○ 定理11.図書は書籍を指す。

○ 定理12.生物は「植物・動物」を指し、次の範囲とする。
 ① 垣根(イボタ・カエデ・サザンカ等でつくられたものを含む)
 ② 樹木
 ③ 動物(獣・鳥・魚を含む)

これは全体と部分の関係を示すための定義である。全体像から出発して部分を関連づけていくと、「施設」と「設備品」の関係が明確になる。新設した設備品と呼ばれる「付帯設備・備品・消耗品・図書・生物」の区別と範囲もはっきりするであろう。

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4-3 物品類の分類

物品管理の機能化を考える上でもっとも必要となるのは分類である。物品を分類するには「分類の基準」を定義しなければならない。さまざまな分類方法が考えられるが、ここでは次のような基準を設定した。

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4-3-1 分類方法

① 物品類は、大分類・中分類・小分類というように、三段階に分類する。
 ② まず、物品のもつ固有の性質を明らかにすると共に転用の可否を判断する。
 ③ 同一性質をもつ物品の名称を集約し、集約物品毎のグループを作る。
 ④ グループをさらに集約し、それに標準的な名称をつける。
 ⑤ 同一性質をもつ標準名称毎に集約する。
 ⑥ 集約標準名称頓を、用途別及び形状形態別に中分頬する。
 ⑦ 申分頬されたものを、性格付けこよる群れをつくり大分頬とする。
 ⑧ 大分犠・中分頓・小分頓というように、段階毎に下降する方法で配列する。

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4-3-2 備品類の分類

前記の分類方法を踏まえたうえで、大分類と中分類の名称及び範囲と定義を次のように設定した。大分類というのは、分類の根源となる物品の性格付けを現すものである。備品の本来持っている基本的な性格を明らかにして、大きな群れをつくるのである。これは推論だけでは不可能であり、ひとつひとつの備品を実際に手に取って確認していかなければならない。中分類では教材用も管理用も備品は備品として区別せずにまとめ、用途別及び形状形態別の分類を採用した。この結果に大分類と中分類の名称を設定し、所属する物品の説明を加えたのが以下の定義である。説明は大分類中分類の順となるが、実際にこれを作成する場合は順序が逆になることは、前記の分類方法でご理解いただけるだろう。

○ 定理13.設備品のうち備品は、次の性格群に分類される。
  a 整備的性格群  常に備えておかなければならない備品群
  b 維持的性格群  現在の状態のままを持続するうえに必要な備品群
  c 科学的性格群  体系的知識を習得するうえに必要となる備品群
  d 感受的性格群  感覚器官に刺激を与えるうえに必要となる備品群
  e 技巧的性格群  技術を習得するうえに必要となる備品群

○ 定理14.備品の性格群は、用途別を主体にして次のように分類される。
 ① 整備的性格群に属すもの
  a 管理用具類   旗・幕・舞台・防火用具・しきり等のまとまり
  b 台的用具類   台・机等のまとまり
  c 椅子用具類   椅子・ソファー・ベンチ等のまとまり。
  d 格納用具類   箱・棚・戸棚等のまとまり
  e 事務用具類   事務用具・事務機械等のまとまり
 ② 維持的性格群に属すもの
  a 保温用具類   火具・暖房具・冷房具・裁縫用具・敷き物・寝具等のまとまり
  b 調理用具類   炊事・調理・調理機械・食品保存用具等のまとまり
  c 検査用具類   身体検査・身体能力検査用具等のまとまり
  d 擁護用具類   救急・簡易診察・身体機能訓練用異等のまとまり
  e 育成用具類   飼育・栽培用具等のまとまり
 ③ 科学的性格群に属すもの
  a 測定用具類   計測・計量・電気頬測定・科学的測定用具等のまとまり
  b 観測用具類   天体観測・気象観測・光量観測用具等のまとまり
  c 液佐用具類   光・音・磁力・電流・電子・発電用具等のまとまり
  d 実験用具類   力学・生物・支持架台等のまとまり
  e 実験機械頬   大型の実験機械等のまとまり
 ④ 感受的性格群に属すもの
  a 説明用具類   光学機械・地球儀・数学関係用具等のまとまり
  b 表示用具類   黒板・グラフ黒板・地図黒板・図表黒板・掲示板等のまとまり
  c 掲示用具類   地図・掛図・像・人形・剥製・鑑賞資料等のまとまり
  d 提示用具類   地質・岩石・鉱物・動物・植物・人体・遺物標本模型等のまとまり
  e 視聴覚具類   放送・放映・撮影・録音・録画・映写・電子計算機等のまとまり
 ⑤ 技巧的性格群に属すもの
  a 作業用具類   屋内作業用具・屋外作業用具・清掃機械等のまとまり
  b 工作用異類   電動工具・木工具・金工具・工作機械等のまとまり
  c 遊芸用具類   遊具・華道・茶道・書道・桟道用具等のまとまり
  d 運動用具類   陸上競技・水泳・スキー・スケート・格技用具等のまとまり
  e 書楽用具類   鍵盤・木管・金管・弦・はつ弦・打楽器等のまとまり

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4-3-3 消耗品類の分類

消耗品も備品と同様に定義を設定して分類する。しかし、消耗品の名称をすべて収集することは不可能である。また、定理10に規定した事項を参照すれば、消耗品と備品の相違は明確に把握できる。このことから、消耗品の属する分野を設定することにとどめた。

○ 定理15.設備品のうち消耗品は、次の性格群に分類される。
  a 整備的性格群   常に備えておかなければならない消耗品群
  b 維持的性格群   現在の状態のままを持続するうえに必要な消耗品群
  c 科学的性格群   体系的知識を習得するうえに必要となる消耗品群
  d 感受的性格群   感覚器官に刺激を与えるうえに必要となる消耗品群
  e 技巧的性格群   技術を習得するうえに必要となる消耗品群

○ 定理16.消耗品の性格群は、用途別を主体にして次のように分類される。
 ① 整備的性格群に属すもの
  a 食料品類   b 応接用品類  c 文房用品類  d 用紙類
  e バス券類   f 郵券類    g 印紙証紙類
 ② 維持的性格群に属すもの
  a 燃料類    b 裁縫用品類  c 調理用品類  d 衛生用品類
  e 飼育用品類  f 栽培用品類
 ③ 科学的性格群に属すもの
  a 測定用品類  b 実験用品類  c 一般薬品類  d 救急薬品類
  e 実験薬品類
 ④ 感受的性格群に属すもの
  a 説明用品類  b 図表類    c 掛図類    d 視聴覚品類
 ⑤ 技巧的性格群に属すもの
  a 作業用品類  b 清掃用品類  c 原材料類   d 工作用品類
  e 遊芸用品類  f 運動用品類  g 音楽用品類

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4-4 共通概念のもと

全国の都道府県や市町村立の学校では、それぞれの地域の規則や規程のもとに物品管理が行われている。従って、手続きと記録の詳細や方法等は当然異なるわけである。私達は過去の研究集録や発表物等と、様々な人々との出会いを通して得られた情報をもとにそれらを集約してみた。その結果、施設と設備の区別、設備と備品の区別、備品と消耗品との区別について、明確な根拠がないということを発見した。金額によって区分したり、地教委購入と学校購入の差によって区別したり、耐用年数の設定によって判断したり、時にほそう定められているからといったようにおよそ納得がいくような根拠はどこにも存在しないのである。これが、全国的に共通している事柄である。また、出納簿や使用簿の性格と記録の範囲,表簿の性格と照合作業の不便さ、備品整理票の規格と貼付用糊に対する不信感、さらに総数掌握の不便さ等が話題にのぼっている。これからのことから、私達は「全国共通の物品管理体系理論」の必要性を感じたのである。

これまで説明してきた定義は、札幌市の研究を母体として作られた仮説である。仮説は未だ検討の余地が多々あり完壁なものではない。また、仮説は即座に実務改善に役立つという性格のものでもない。このような順序を追いながら、物品管理のための理言論体系を形作って創っていくべきではないだろうか、という試案である。全国の仲間で物品管理を直接担当している者が共通した概念を持って話し合うための資料である。共通概念のうえに立った共通認識が完成すれば、それは物品管理体系理論となる。全国共通の物品管理体系理論を形創ることが,情報化を進めるための第一歩であろう。それがなくして、学校事務の機能化などは望むべくもないのである。

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5 機能化について

5-1 機能化に対する考え方

機能化の意味は定義する者によって異なり、一般的には「機能化=合理化=機械化」といわれている。合理化とは、経営側にとっては経費の節減であり、省人化による労働装備率(労働者一人当たりの一生涯の人件費、公務員の場合ほ約二億円といわれる)の削減であるという。一方労働者にとっては、失業率が増加することによる生活権の侵害であるといわれてきた。現在でも、人員削減による人件費の節約効果は図り知れないとか、合理化は労働者を職場から追い出し、機械が人にとって換わると信じている者が多い。しかし、高度成長期の産業革命に伴う機械化とここで扱う機能化では考え方がまるで異なるのである。

企業体事務分野における事務の機能化や合理化は、単なる機械化ではない。機能化の目的は、毎日同じように繰り返えされる決まりきった仕事の能率を上げることであり、経営に役立つ情報を作りだして早く伝達することである。すなわち、仕事の量への対応と、仕事の質の向上をめざすことが目的である。この二種頬の仕事は、どちらが欠けても機能を十分に発揮できない。単なる現状改善にとどまらず、日常定形業務の効率化と経営情報処理の高度化が、企業における機能化の真の目的である。

学校事務の分野へも情報機器の導入が一部で始まっている。しかし、厳密な意味での機能化ではないため、様々な問題が発生しやすい。学校事務の機能化に対する定義の欠如は機能化する側もされる側にも問題が発生する。生産性の向上を追及しなければならない職場や、利潤の追及が目的の企業経営体の合理化や機能化に関する考え方をそのまま持ち込んだり、若干の手直しだけで当てはめようとするところに無理が生ずるのである。学校事務は製造工場の現場ではない。機械が自動的連続的に仕事をしてくれて、省力効果と省人効果をあげることのできる仕事にほとんどないのである。効果があるのは大量・定型・反復業務だけであり、機械化による省人効果は少なく省力効果が大部分となる。大企業においても機能化による省人効果は、人員換算率0.2人分であるといわれる。

事務には、もともと機器になじまない性質のものが多々ある。一方では機械化しなければならないものも存在している。人手でするよりも機械にやらせるほうが能率のよいものと、機器を使わなければできない性質のものとがある。しかし、無条件で機械を持ち込むと、費用がかさむばかりでなく、効率化からははど遠いものとなってしまう。そこで、人手と機械の両者を使い分けること、組み合わせて運用することがもっとも大切になってくる。予算があるとか新製品が出たからなどといって機器を導入するのは合理化ではなく、むしろ機能化を疎外するものであるといえよう。業務内容と問題の本質を知らずに機能化を進めても、問題の根本的な解決にはならないのである。

学校は生産性の向上も利潤の追及も必要ない職場である。経営という言葉がもつ厳密な意味が当てはまらない職場であって、組織体の運営と教育行政機関との情報交換などが重点となる。この面にのみ効率化が求められる職場であるといえるから、これらの点を十分に考慮したうえで機能化に対する定義を確立しなければならないだろう。

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5-2 情報機器に対する考え方

情報機器は、情報化社会を実現するための手段であり、問題を解決するための道具である。情報機器と呼ばれるものには、印刷機(輪転機)や製版機(ファックス)をはじめとして、複写機(コピー)やワードプロセッサ(ワープロ)、さらにパーソナルコンピュータ(パソコン)やオフィスコンピュータ(オフコン)、ファクシミリなどがあげられる。最近の技術革新はめざましく新型の情報機器は内部にコンピュータとその機能を発揮させるプログラムが組み込まれている。しかも、ワープロに計算機能がつくなどの多機能化が進みはじめた。また、製版機と印刷機の一体型も現れるなど複合化も進んでいる。これらをOA機器のインテリジェント化と呼んでいる。最近は機能化を全体的なシステムと考えて、情報機器を現実のオフィスの実態に一歩でも近づける努力が図られている。それほど現代のオフィスには情報機器を使わなければ解決できない問題があふれているのである。

情報機器は、オフィスの効率をあげるのが目的であり、情報機器があるから使うとか使わせるということが目的ではない。効率をあげるためには、情報機器を使うと役にたつから導入するという性格のものである。

担当している仕事の本質と内容を把握し、問題意識と改善意欲をもって業務に取り組むことが機能化をめざす原点である。受け身の姿勢で対応するのではなく、積極的な姿勢で対処するとき仕事に対する姿勢が変わってくる。人間らしく仕事をするには、新しい道具を使った業務改善に目を向けなければならない。仕事上の問題点を発見するとともにその原因を探り、対策を総合的に考えることがまず必要である。

学校事務の機能化は、何をしなければならないか、何ができるのか、何をさせるのかという順序で考えなけれはならない。事務の機能を前向きに変化させ、新しい事態に対処しながら新しい働きを創りだしてゆかなければならないだろう。この分野は機械の仕事ではなく、人間の創造性の世界である。そして、最新の情報技術を使えば何ができるか、どのような体系を創らなければならないか、それを考えるのが次の段階であろう。そのためには業務上の知識と情報機器についての知識が必要である。情報機器に関する専門家がいくら考えても、業務上の知識は担当している者にしか理解できない。担当者以外が考察しても現場にはなじまないものができてしまう。学校事務という業務の内容と処理の仕方、仕事の流れや簡素化、合理化や効率化を熟知していなければできあがった機能化は機能しないのである。これらを満足させるすべての条件を満たしているのは学校現場で仕事をしていろ我々白身である。我々が快適に働けるような状況を創りだしてこそ、我々が持っている能力を最大限に発揮できるのである。

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6 機能化研究の将来展望

6-1 機能化に対する考え方

機能化のための研究はいま始まったばかりであり、今回の発表をもって終わるわけではない。今回の発表を契機に,完成の域に達するまで今後も研究を継続していこうと考えている。そのためには、全国の仲間の協力を得なければ到底不可能である。共通の認識の上に立って努力すれば,必ず明るい未来が広がるだろうし、基幹職員としての職業も再認識されるだろう。

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6-2 物品の購入と支払い

物品の要求者は「ICカード」で機器に自己を識別させ、「希望物品名、規格・数量・用途・使用時期」を入力する。この場合、電算管理物品で在庫があるものについては現在病院等に導入されている自動搬送システムが作動して供給される。在庫のないものについては、入力と共に「物品購入伺書」が作成されて事務室の機器へ転送される。

事務室の機器は市町村登録業者の端末機器とオンライン化されていて、見積もりの依頼が即座に行えるようになっている。業者が指定期日までに見積金額を端末へ入力すると、電算機は集計して「購入業者の決定・支出科目と支出額及び予算残額の経理」を自動的に行い、経理担当者の判断をまつ。高度の判断を要しない場合は、決裁知識データベースが判断した事柄を表示し、高度の判断を要する場合にはそのむねを表示することになる。

購入の決定は「網膜識別装置」に登録されている校長の決裁を得て、同様に登録されている経理担当者が発注の指示を入力する。この「網膜識別装置」を使用することにより、責任の所在を特定して「印鑑」を廃止することができるだろう。発注に必要なデータは業者の端末機器へ転送され、納品指定期日は要求者もしくは経理担当者が指定した期日を転送する。

規格が特定されている標準的な物品については、納品検査を電算が行う。検査が終了した物品が倉庫へ保管するよう指定されている場合、自動搬送システムが作動して保管管理を行う。納品検査が終了した場合、業者は「ICカード型支出命令書」を持参して事務室の電算からデータを入力する。「網膜識別装置」に登録されている決裁権者の決裁を経ると、「ICード型支出命令書」のデータは市町村の会計室へ転送されて支払いの手続きが行われる。当然会計室も同様なシステムによって事務処理が行われることになるだろう。

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6-3 備品類の管理

備品類については、前述したデータによって「備品出納簿」と「備品使用簿」が作成される。備品の納入時には自動搬送システム用ロボットが物品を確認して「バーコード式・ラベル」を焼き付けていく。このとき、それぞれの備品には特有の信号発信装置(現在レコード店で利用ししているものの改良型)を貼付する。指定位置に設置されると同時に電算、保管位置を確認して記憶装置に登録する。したがって、備品を許可なく指定位置以外へ持ち出された場合はアラーム音を発し、校地外へ搬出された場合は極端なアラーム昔を発生することにより盗難を防止する。

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6-4 諸調査及び検討

児童生徒の机と椅子の調査、換気扇の調査、教材の調査等さまざまなものがあるが、これらはそれを必要とする者が必要な時期に即座に取り出すことができることになる。電算には備品の使用保管位置と数量や消耗品の在庫数量と使用頻度等、あらゆるデータが記憶されていることから調査用紙を配布するという方法はまったくなくなる。

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6-5 その他、活用できる範囲

物品管理の理論体系が完成し、物品標準名称鑑と同一規格の出納様式ができれば、あらゆる事務を機能化できるようになるだろう。教職員や市町村教委の出向職員及び臨時雇用職員の給与関係事務も、物品管理と同様な方法で機能化できるだろう。旅費や外勤費用の計算や出納事務関係にも応用できる。さらに、児童生徒の学籍関係事務は異動先で指導要録を引き出すことができるし、教科用図書の種頬も瞬時にわかる。月末統計にも役立てることができるだろうし、指定統計の係数計算に悩むことはなくなり、学校基本調査にしても基準日の翌日には統計ができあがる。

機能化の方法によってはさらに利用範囲が広くなる。文書の送達時間の短縮も、不要文書の整理にも活用でき、通達や通知文書内容の徹底もはかれる。なによりも重要なことは定型業務に人間の介在をできるだけ少なくすることと、印鑑と書類を廃止することであろうか。

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