はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第38章 便失禁の克服

インナーマッスルが老化したことを示す症状が現れたのは平成25年6月10日で、悩んでいても治るわけがなく筋肉は鍛えなおすことができるこを知って挑戦し、令和元年6月には60代の頃の何ら問題がない状態へ戻れた。

1 悪夢の発端

以前通院していたS内科医に「胃にピロリ菌がいますね。いまのところは悪さをしていないので心配いりません」と言われた。2001年に、日本人の約1万5千人を対象にピロリ菌感染の有無を10年間追跡調査した結果が発表された。この調査でピロリ菌に感染していなかった人に、胃がん患者は1人もいなかったという結果が出ている。

40代で胃潰瘍や十二指腸潰瘍を経験して自然治癒したが、ピロリ菌がいると再発する確率は72%高くなるとされる。尿素呼気試験法で二酸化炭素の量を調べていただくと、平均の二倍以上の11.6%という数値が現れ、多量のピロリ菌を飼育(?)していることがわかった。

ピロリ菌の除菌薬は、ペニシリン系の抗菌剤とマクロライド系の抗菌剤、そして胃薬がセットになっている。朝夕2回14日間飲み続け、一ヶ月後に効果を調べるため再び尿素呼気試験法の検査を受けなければならない。

恐る恐る医師の前に置かれた丸椅子に腰を下ろすと、カルテを見ていた医師は振り向いて「おめでとうございます。尿素呼気試験法で二酸化炭素は検出されません。ピロリ菌の除菌は成功したので安心してください」とおっしゃった。その夜はワンカップの日本酒を二本を購入して祝杯を挙げた。

その翌日、忘れもしない平成25年6月10日の朝、腸がゴロゴロを鳴り始めて便意を感じたのでトイレへ向かった。ところが、トイレ着く前に下痢状の便が漏れ出した。翌日の朝も同じことが起き、その日から下着を汚さないための対応策が始まった。

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2 排便のシステム

 2-1 排便までの流れ

人類は鳥類などとは異なり、便が不随意に排出されないような解剖学的特徴を備えているが、排便のメカニズムは単純ではなく、中枢神経、末梢神経、結腸壁内神経叢、腸管運動、心因的要素等が複雑に絡み合っており、未だ解明されていない部分もある

普段の便は、主に下行結腸からS状結腸に貯まっている。直腸から肛門に移行する部分は、恥骨直腸筋により前方へ引き寄せられて、ある一定の角度になって便が肛門へ簡単に移動できなくなっている。肛門部は内肛門括約筋、外肛門括約筋の力で閉じている

朝起きて食事をとると、起立反射、胃結腸反射が働いて便が直腸に送られる。直腸が膨らむと便意を感じるが、排便の準備ができるまで意識的に排便に対して抑制が働き、肛門はまだ閉じた状態で便が漏れないようになっている

不随意筋である内肛門括約筋は通常収縮しているが、直腸に便が充填されると反射的に弛緩する。このような状態になった時には、随意筋である外肛門括約筋を収縮させることで排便を抑えている

安静時には恥骨直腸筋の緊張状態により直腸が前方に牽引され、折れ曲がることで排便を抑制している。排便の準備が整うと脳からの抑制がとれ、腹腔内圧が上昇して恥骨直腸筋の弛緩により直腸肛門角も緩やかになって肛門が開き、腹圧をかけることと直腸の収縮により排便される

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 2-2 二重構造の協調作業

グレイの解剖学と通称される書籍「人体の解剖学」は、出版後ほぼ1世紀を経過した今日においてもいまだに最も権威があり、詳細な解剖学書の一つであるとみなされている。2000年代に入った現在も解剖学の標準的テキストとして改訂が続けられている。

恥骨直腸筋は、肛門挙筋を構成する3つの筋(恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋)のうちの一つだが、「日本人体解剖学(下巻)」の索引に恥骨直腸筋は見当たらないという。排便のメカニズムが未だに解明されないのはこのような状態だからといえる

肛門は、内側の内肛門括約筋と外側の外肛門括約筋の2種類の筋肉からできている。内肛門括約筋は腸の筋肉の一部で、平滑筋という自律神経がコントロールする筋肉である。おしりを締めようと意識しなくても、自律神経のはたらきでおしりを締めてくれる。

外肛門括約筋は体性神経支配の横紋筋である。手や足の骨格筋と一緒で自分で締めることができる。内肛門括約筋は普段肛門を閉じてくれるが、肛門の近くまで便が降りてくると緩んでしまう。

この時は「便意」を感じるので、便がもれないように外肛門括約筋を締めることができる。このように、肛門の締まりは自動的にゆるむ不随意筋の平滑筋と、自分の意志で動かせる随意筋の横紋筋という二重構造の協調作業で排便をコントロールしている

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3 便失禁とは

 3-1 便失禁の症状

便失禁は、無意識又は自分の意志に反して肛門から便が漏れる症状と定義されている。便失禁有無の調査では、65歳以上の約6~8%に便失禁があり、決して稀な症状ではないことが分かる

肛門をすり抜けて便が漏れ出る状態が便失禁だが、通常はそうならないように肛門括約筋が収縮したり、ゆるんだりして調節している。肛門括約筋の機能が低下し、直腸の感覚が衰えて便意が鈍くなったりすると便失禁を起こしやすくなるとされる

便失禁を大きく分けると、我慢しきれずに便が漏れてしまう「切迫性便失禁」、気づかないうちに便が漏れる「漏出性便失禁」、両方が混在する「混合性便失禁」などがある。その中で最も多いのは「高齢者の漏出性便失禁」と言われる

高齢者の漏出性便失禁は、加齢によって排便に関わる肛門括約筋の機能や直腸の感覚が低下し、便意を感じにくくなることが原因とされる。それ以外にも便失禁にはさまざまな原因があり、高齢者だけとは限らない。

加齢や認知症などに伴う便意感覚異常以外にも、外傷性などよる肛門括約筋の機能不全や直腸脱などの後天性直腸肛門疾患、慢性下痢症による便通異常など、いくつかの要因があるとされている。

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 3-2 様々な症状

内肛門括約筋は、私たちが「無意識のうちに肛門を締めている」筋肉を指す。内肛門括約筋の収縮力が加齢などによって低下すると、いわゆる「お尻の締まりがゆるい」状態になり、直腸内の粘液や少量の便汁が外に漏れ出してしまうそうだ。

内肛門括約筋が衰えると「知らないうちにパンツが汚れていた」ということがおこる。更に、よく聞く症状は「便が漏れて下着が汚れる」「下痢ぎみである」「排便回数が増えた」などであるという。

内肛門括約筋は意識して収縮させることができない筋肉のため、残念ながら骨盤底筋体操など、いわゆる肛門筋肉のトレーニングで鍛えることはできない。内肛門括約筋は決して無駄ではないが、老化などで生じる内肛門括約筋の筋力低下を防ぐのは難しいとされている。

軟便傾向が強く、症状を我慢できずに便が漏れる切迫性便失禁や、日常生活で排便した後に便失禁が起こるという場合もある。この場合は、食事の後は必ずトイレに行くなど排便習慣を指導で改善する場合もある。

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4 自己診断の結果

 4-1 病気の現状

便失禁の原因の一つは大腸ガンである。便失禁の症状がでていた平成26年4月から平成29年4月まで年一回の簡易検査では、胃・大腸・膵臓・肝臓・腎臓・前立腺にガンが存在する反応は発見されなかった

内科でLDLコレステロール値と中性脂肪値、尿酸値とクレアチニン値が少々高いので投薬を受けていたが、腎臓機能障害でクレアチニン値が1.4まで上がったのは、尿酸値を下げる薬ユリノームを内服していた副作用である。

一度壊れた腎臓機能は二度と回復しないが、体のむくみ取り専門エステサロンオーナーセラピスト益田さんが紹介する腎臓ストレッチを続け、腎臓の毛細血管内で停滞している血流を増加させることで薬に頼らずクレアチニン値を1.04まで下げることができた

歩いているとき右の太腿から足先にかけて強いしびれを感じ、歩行困難になりしゃがみこんでしまう。1~2分しゃがんでいると再び歩けるようになるが、1キロ歩く間に2~3回同じことが起きる。脊柱管狭窄症の様々なストレッチを試したが効果は今一である。

平成26年3月26日の朝、心臓付近に強い刺すような痛さとに、息ができないような圧迫感、奥歯が浮くようながイガラッポさを感じた。狭心症の発作と考えて診察を受けると、内科医はMRI検査を受けるよう指示されたが、検査後に治療も投薬もない。

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平成27年10月に内科で超音波による動脈硬化の検査で頸動脈を何度も押さえられ、左右の頸動脈が三分の一が詰まっていると言われた。気になり専門病院で検査を受けると左の内頸動脈が完全閉塞していた。血管の超音波検査は命取りになるかもしれない

脳は、左右の内頚動脈と椎骨動脈の4本の血管で血流を受けている。必要とする血流が来なくなると、片麻痺や構音障害、失語、意識障害といった神経症状をきたす。さらに一定の時間が経過すると、血流の低下した脳は脳梗塞に至る。

内科医に足が冷たいのでMRI検査を受けるよう勧められ、心臓へ向かっている血管と腹大動脈から分岐した総腸骨動脈の一ヶ所に石灰化が進んでいる部分があったが、検査後に治療も投薬もない。足が冷たいのは一過性の症状だった。

平成29年に入ってから、ありがたいことに狭心症の発作を一度も経験していない。LDLコレステロール値と中性脂肪値、尿酸値が標準値になったわけではないが、毎日飲む薬を一日おきに減らしてみたが検査結果の数値は変わらない。

このような状態を話して薬の量を減らすようお願いすると、言われて通りにきちんと飲みなさいと激怒して患者の話を聞こうともしない。平成29年師走以降はこの医師に付き合っていたら危険と考え、薬害を回避するため内科への通院を止めた

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 4-2 毎日の食事

便失禁が起きたら、まず日常生活の中で何が便失禁の改善につながるかを知り、その対策を立てることが大切と言われている。食事内容を見直し、ビール等のアルコールやコーヒーなど刺激物の摂取量を減らす工夫も欠かせないと言われている。

起床後は排尿排便をすませ、水道の水をコップに一杯飲む。便失禁対策をしてからストレッチを20分間行い、脳の老化防止で音読・計算・記憶のドリルと百人一首や写経で文字の練習を行う。食事前に、生姜漬けの蜂蜜を加えた黒酢をコップで半分飲む。

朝食の主食は、一日おきに五穀米ともち麦を加えたご飯を茶碗に半分程度、味噌汁の主菜は玉ねぎと豆腐とワカメの組み合わせが多い。大根、馬鈴薯、小松菜、長ネギなども具に使う。納豆は週に四回程度、鶏卵は生卵や卵焼きと目玉焼きを一日おきに食べている。

保存食で食卓へ並ぶのは、チンゲン菜や小松菜のお浸し、牛蒡と豚肉の煮物、人参と黒ゴマの煮物、焼き鮭、夕食の残り物などである。一種類の食べる量は箸で2~3つまみ程度である。ニンニクの醤油漬けを二切れと沢庵を1切れ。食後に和菓子を一つと煎茶を一杯。

昼食の主食は、バターを薄く塗った角食のトーストを半枚か、夏はソーメン、冬は温麺か豆餅1切れである。毎日欠かさないのは、小松菜とキャベツ、青シソにバナナを1本、乳酸菌入り粉末青汁と低脂肪牛乳にオリーブオイルを大匙一杯加えたスムージである。

月に二度程度は外食で、買物に行ったついでに盛りそばソバかぶっかけうどんが多い。たまには、ご飯が半分の親子丼や生寿司を10握りの時もある。年に1度はトンカツや五目中華麺。カラオケ店へ行くとスーパーやコンビニのおかず盛り合わせを半分程食べる。

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夕食は焼いたサバやホッケを半身、旬の時は焼いた鰯を二匹、納豆うどん、ナンとチーズやナンとカレー、カレーライス、雑炊。市販の合わせ調味料を使ったマーボ豆腐、八宝菜、酢豚など。湯豆腐や高野豆腐の湯豆腐、天婦羅うどんや焼き肉である。

夕食を外食にすることはほとんどないが、夏場だけは専門店へ出かけてビールとジンギスカンを食べる。嗜好品は、1日おきに安物の赤ワインを250ml、インスタントコーヒーは一日に三杯程度、多いときでも四杯ぐらいである。ビールは自宅で飲まない。

塩分は制限し、おひたしや冷や奴に醤油は使わない。塩ゆでの馬鈴薯やカボチャ、とうもろこしなどは塩分を感じるかどうか程度。沖縄産のこーれーぐーすは、刺身や湯豆腐などに使用している。三時のおやつは、アーモンド・ピーナッツ・クルミなどを少々。

改めて日常の食事を書き出してみると、あまり変化のないことに驚く。食べる量は六十代のころの半分程度であっても、体重は一向に減らない。

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 4-3 便失禁の自己診断

病院の医師は、想像する以上に複雑に絡まり合っている便失禁の原因を解きほぐし、的確な治療を行うためは患者の話を聞き、診察を行うことが大切とされている。そこで、自分で自分を診察してみた。

排便習慣は規則正しいと言え、1日に1回、朝目覚めた5時から5時半までの間にトイレへ行くのが常態化している。朝食後は尿意を感じるとトイレに行くが排便はない、催したら我慢せずにすぐトイレへ行くが、寝る前にトイレで排便を済ませることはない。

痔を手術したことはなく、排便時にいきむことは二十代までで以後は自然排出が続いている。長期間軟便が続いていたが、還暦を迎えてからヨーグルトを食べるようになると、便の形状は少々細いがバナナ状となり臭いはしない。コロコロ便が出た記憶はない。

便失禁の発生は、排便後1時間以内に1度だけである。便失禁を発症した当時の量の表現はむずかしいが、便汁を含めると計量用スプーンの小匙で擦切り1杯程度と思われる。固形物が排出されることはなく、便汁に固形物の残骸が含まれていることが多かった。

これらの症状から排便に関係する筋肉の疾患ではなく、単なる加齢による筋肉の衰えと考えた。専門病院で診察を受けると原因を特定できるかもしれないが、世界的に見ても日本人は病院へ行く回数が多すぎるという。

自己診断の結果で手の打ちようがないのであればやむを得ないが、自分で何とか出来ると思えるなら病院へ行かないほうがよいだろう。インターネットを利用すれば、最新の専門知識を得ることができ、健康保険の赤字を若干でも防ぐことができる。

専門病院では、初期の治療でポリカルボフィルカルシウムという薬がよく用いられる。この薬は便の中の水分を吸収して、まとまった形にする。漏出性便失禁では、軟便やコロコロした形状の便が多くそのために便が残って漏れ出しやすくなると言われる。

薬を服用すると便の形が安定して漏れにくくなり、またすっきりと排便できるため肛門や直腸にも残らず症状が改善するという。ある内科で軟便に悩んでいると話したら、便の中の水分を吸収する薬を処方され、一週間ほど便秘になりかえって苦しんだ経験がある。

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5 改善へ向けての努力

 5-1 毎日8千歩を歩行

肛門括約筋には、意識して収縮させることのできる外肛門括約筋と、無意識のうちにお尻を締めている内肛門括約筋がある。このうち外肛門括約筋は自分の意思によって締めたり緩めたりすることが可能な筋肉のため、一度衰えても鍛え直すことができるそうだ。

高齢者の仲間入りをすると直腸で便を溜める力が弱くなるそうだ。骨盤底筋群が衰え、肛門の開閉をコントロールしている肛門括約筋が弱って肛門が緩んでしまうという。これを防ぐため、意識を集中して肛門を締めながら1万歩を10年間毎朝歩き続けた。

ところが、高齢者にとって健康維持、病気・病態予防のために基準となる数値が1日平均8千歩で、中強度の活動時間が20分以上の運動は病気の予防にはならないという実践研究が発表された。

理想とされる1日平均8千歩で20分間中程度の運動を行うと、「血圧症、糖尿病、脂質異常症、メタボリック・シンドローム」を予防できるという。実践研究が発表されてから2年間毎朝8千歩を歩き続けたが、便失禁への効果が現れるのは時間がかかりそうだ

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 5-2 体幹を鍛える

体幹とは体の中心となる胴体の部分を指す。上は横隔膜、お腹周りは腹横筋、背中側は多裂筋、下は骨盤底筋に囲まれた部分になる。この部分にかかる圧力を「腹圧」と言い、腹腔内の圧力が排便・排尿を助けるほか、女性の出産の際の原動力にもなる。

腹腔は内臓の詰まっている部分で、上は横隔膜、背中側は多裂筋、腹側は腹横筋、下は骨盤底筋で囲まれ、腹腔がしっかりとしていると、体の中心がしっかりしていることになる。このように身体の奥に位置している筋肉はインナーマッスルと呼ばれている。

体幹を鍛えると腹腔内の圧力が排便・排尿を助けることになり、便失禁改善にもつながるだろうと考え、毎日パソコンに向かうときは体幹バランスボールに腰かけていたが、半年間続けたがさしたる効果はみられなかった。

そこで体幹の総合トレーニング法とも呼ばれる「ニートゥー・エルボー」を、毎朝のストレッチに組み込んだ。中々お腹の下で肘と膝を合わせることができなかったが、続けた効果は躓いて転ばなくなったことだった。

ニートゥー・エルボーは、体全体を動かすことで腹直筋を集中して鍛えられ、インナーマッスルやバランス感覚を成長させられる筋力トレーニングである。腹直筋が収縮されているのを感じながら、バランスを意識して左右10回ずつ3セット行うのが基本である。

① 両手両足を床につけて四つん這いの姿勢を作る。

② 対角の手足を一直線になるよう上げていく。

③ 右足のかかとから左手の指先まで真っ直ぐにする。

④ 伸ばしきったら、ゆっくりと近づけていく。

⑤ お腹の下で肘と膝を合わせる。

⑥ 逆の足と手を使って同じことを行う。

⑦ 左右10回ずつ同じ動作を繰り返す。

⑧ 休憩を1分間取り、2セット行う。

ニートゥー・エルボーの効果を高める秘訣は、重心を常にお腹の位置に保持するため、支柱となっている足と手を動かさないことである。インナーマッスルを鍛えると微妙な関節の動きをサポートして、体の動きのスムーズさやしなやかさが生まれる。

インナーマッスルが鍛えることにより腹圧は正常となるだけではなく、外肛門括約筋が動くことにより意識して収縮させることができないためトレーニングで鍛えることはできないとされる内肛門括約筋も引きずられて動く。これによる効果はあるはずと考えた。

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 5-3 肛門の訓練

骨盤底筋群は骨盤の底にある筋肉で、肛門(こうもん)挙筋、会陰(えいん)横筋、球海綿体筋(膣(ちつ)括約筋)、外肛門括約筋、外尿道括約筋、坐骨(ざこつ)海綿体筋などで構成され、肛門挙筋はさらに腸骨尾骨筋、恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋からなっている。

骨盤の真下には重力に対して支える骨はなく、骨盤底筋群を含む深層筋によって身体の姿勢が保たれている。骨盤底筋群の働きが低下すると、内臓は本来あるべき位置で保てなくなり下垂する。

骨盤底筋が緩むことにより、膀胱や尿道、肛門を引き締めることができなくなり、出口が開きやすくなって漏れが生ずる。また、座った姿勢で同じ作業を繰り返す人も骨盤底筋が緩みがちとなる。たしかに、私はパソコンの前で椅子に腰かけている時間が長い。

骨盤底筋群は尿や便の排泄にかかわり、膀胱や尿道および膣、肛門を引き締め、尿漏れや便漏れを予防する役割を果たしている。とはいえ、骨盤底筋群は普段全く意識しない人がほとんどである

骨盤底筋体操には様々な方法があるが、強い力で肛門を5秒締めた後、10秒弛緩させる。これを10回繰り返す。次にできるだけ素早く肛門を締める動作を10回行い、軽めに肛門を10秒締めて10秒弛緩させることを10回繰り返す。

1日に5セットを目標に日々の生活に取り入れて行くべきだろうと言われているが、とは言え中々難しいので気が付いたときにできるだけ回数をこなしている。

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 5-4 恥骨直腸筋との出会い

1日平均8千歩を歩き、バランスボールに8時間以上腰かけ、体幹の総合トレーニング法ニートゥー・エルボーを続け、骨盤底筋体操を時々試していたが、便失禁の量は徐々に少なくなっていったがまだまだだった。

直腸で便を溜める力が弱くなり便が漏れ出ると考えるなら、直腸から便が出ないようにしている筋肉があるはず。インターネットで詳細な解剖図を探していると、横浜市立大学院医学研究科肝胆膵消火器病学教室の中島淳主任教授が作成されたイラストを発見した。

このイラストを見るだけで恥骨直腸筋の形状と役割が理解できる。恥骨直腸筋は、安静時に外肛門括約筋を助けて肛門を閉じた状態に保つ。排便時は緩んで直腸から便を排出しやすくしている。これは安静時と排便時の直腸肛門角を見ると理解できる。

恥骨直腸筋

普段から直腸はほぼ直角に曲がっているが、恥骨直腸筋というループ状の筋肉が直腸を引っかけてさらに前方に引っ張っている。便意を我慢しているときや安静時は、この筋肉が縮むことで直腸をくの字に曲げて頑張っている。

この角度をゆるめるとスムーズに排便される。便座に座った状態で上半身を前傾させるだけで恥骨直腸筋はゆるむ。排便時にはロダンの考える人の姿勢が最善とされる理由である。この筋肉が加齢で最も衰えやすいのかもしれない

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6 自己診断の再検討

 6-1 排便迄の経緯

普段の便は主に下行結腸からS状結腸に貯まっている。朝起きて食事をとると、起立反射、胃結腸反射が働いて便が直腸に送られる。直腸から肛門に移行する部分は、恥骨直腸筋が直腸を前方へ引き寄せているので便が肛門へ簡単に移動できなくなっている。

肛門部は内肛門括約筋、外肛門括約筋の力で閉じている。不随意筋である内肛門括約筋は通常収縮しているが、直腸に便が充填されると反射的に弛緩する。このような状態になると、随意筋である外肛門括約筋を収縮させることで排便を抑えている。

便座に座った状態で上半身を前傾させると恥骨直腸筋がゆるむみ、直腸から便が排出しやすくなる。この時に、呼吸を止めて息むのは、内臓や筋肉に負担をかけるので好ましくないと言われている。

固形である便の排出を押さえているのは内肛門括約筋と外肛門括約筋だが、直腸から肛門へ排出される固形便を押さえているのは恥骨直腸筋である。この恥骨直腸筋が加齢で緩んでいるから、直腸から便汁が漏れ落ちるのではないだろうか

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 6-2 これまでの効果

これまで1日平均8千歩を歩くことで肛門括約筋に刺激を与え、ニートゥー・エルボーで腹腔内の横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋に刺激を与え、肛門の訓練で骨盤底筋群に刺激を与えてきた。これにより恥骨直腸筋にも刺激が伝わっていたと思われる。

平成30年に入ってから便失禁の量は徐々に減り、一ヶ月に一度程度は便失禁がない日がでてきたのはうれしかった。これまでの努力が実を結んでいるように思えたが、便失禁の対策を忘れることはできなかった。

加齢により一度衰えてしまっても筋肉は鍛え直すことができるそうだが、そう簡単に効果は期待できるはずもなく数年かかるように思えた。アスリートは筋肉に負荷をかけて筋繊維を切り、回復するまでの三日間は筋肉を休めるという。この方法は使えそうだ。

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7 そして、対策不必要に

ある日、テレビで健康番組を見ていると、女性の尿失禁を予防する体操が紹介されていた。様々な体操を見たことがあるが、説明を聞いていると恥骨直腸筋を鍛えることができるので便失禁にも効果がありそうだと思えた。

これまで様々な方法を試した経験から、番組の説明と異なるが最大の効果を生み出せるように改良して、令和元年5月1日から試し始めた。すると、便失禁の大きさは直径5ミリ程度の円となり、便失禁がない日が増えてきた

恥骨直腸筋体操は次のとおりである。

 恥骨直腸筋体操

① 椅子に深く腰かけて、背骨を直立させる。

② 鼻から腹部を膨らませずに息を吸い込む。

③ 腹部を動かさずに肛門を持ち上げる感じでゆっくり息を吐きだす。
    風船を膨らませる時と同じ動作である。

④ この簡単な体操をゆっくり10回行う。

この恥骨直腸筋体操にアスリートの筋肉増強法をプラスすると、恥骨直腸筋体操は毎週の月曜日と木曜の朝というように週二回行う恥骨直腸筋体操の回数は10回から、50回に増やすことで負荷をかけるようにした

恥骨直腸筋体操の回数を50回に増やしても運動量は大したものではなく、額に汗がにじみ出るが疲れると言うものではない。恥骨直腸筋体操の効果は目を見張るものであったが、これまで続けたすべての運動の相乗効果で漏れる量と回数はしだいに減り始め、6月に入ると便失禁の対策は必要なくなった

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謝辞:横浜市立大学院医学研究科肝胆膵消火器病学教室の中島淳主任教授作成の「恥骨直腸筋」のイラストを転載させていただきました。ありがとうございます。