はげちゃんの世界

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第26章 動脈硬化の対策

2018(平成30)年4月7日午後1時、札幌市民ホールで開催された札幌ハートセンター主催の医療公開講座で、循環器内科の佐藤勝彦医師の講演「あなたの心臓は大丈夫~静かに忍び寄る恐怖…それは動脈硬化~」の要約です。

1 動脈硬化の原因

 1-1 動脈硬化の成り立ち

厚労省から発表された「平成28(2016)年の人口動態統計(確定数)」を基に、日本人総数の死亡原因と比率は「第一位:悪性新生物=癌(28.5%)、第二位:心疾患(15.1%)、第三位:肺炎(9.1%)、第四位:脳血管疾患(8.4%)、第五位:老衰(7.1%)」の順です。

性別で見ると、男性は「悪性新生物、心疾患、肺炎、脳血管疾患、老衰、不慮の事故、自殺、慢性閉塞性疾患、腎不全、肝疾患順になります。喫煙が原因とされている慢性閉塞性肺疾患(COPD)が第八位に入っています佐藤勝彦医師

女性は「悪性新生物、心疾患、老衰、脳血管疾患、肺炎、不慮の事故、腎不全、大動脈瘤及び解離、血管性の認知症、アルツハイマー病」の順になります。第九位に血管性の認知症、第十位にアルツハイマー病が入り、第八位に大動脈瘤及び解離が入っています。

動脈硬化が原因で死亡する人は、心疾患(15.1%)と脳血管疾患(8.4%)を合わせると23.5%になり、第一位の癌(28.5%)に迫る勢いです。

動脈硬化の過程

動脈は「糖尿病・脂質異常症・高血圧・高齢化・喫煙・肥満」などが原因で硬くもろくなり、その結果血管内腔が狭くなりふさがってしまう状態へと進んでいきます

動脈硬化の原因

正常な血管は三層構造になっています。血管を覆っているのは外膜、平滑筋細胞でできている内膜、血管に柔軟性を与える内弾性板、血液と触れているのは内皮細胞膜です。内皮細胞は血液から酸素や栄養を受け取り細胞へ供給する働きがあります。

血液に触れている内皮細胞は、高血糖・高血圧・喫煙・参加したコレステロールに触れることで老化していきます

血管の老化

 1-2 動脈硬化の進み方

痛みなどの自覚症状がないまま、あなたが気づかないうちに動脈硬化が進行していきます。

  1-2-1 血管が硬くなり、内腔が狭くなる

血管壁は血液の圧力を受けて、加齢と共に熱く硬くなります。さらに、血管の内側にコレステロールなどの脂肪が沈着すると、その部分が隆起し、血管内腔が狭くなります。このままではさほど問題はありません。

  1-2-2 粥腫ができて大きくなる

悪玉コレステロールが隆起した部分に取り込まれ、粥腫を計数します。それが大きくなり、更に内腔を狭くします。このような粥腫動脈硬化になると、深刻な問題になります。

  1-2-3 ある日突然に粥腫が破れる

ほっておくと、突然粥腫を覆っている膜が破れ、瞬時に血栓ができ血管内が塞がれてしまいます。その結果、血流が遮断され、組織の一部が死んでしまいます。

動脈硬化の進み方

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 1-3 動脈硬化の進行

下の写真は、中程度の狭窄から突然完全閉塞になった症例の写真です。左端は2000年5月12日の写真です。矢印が示す部分の血管が少々細くなり狭窄が起きていますが、この程度の細さなら血液の通過に問題はありません。

中央の写真は2000年9月1日に撮影した写真です。わずか4ヶ月で血管の狭窄が進んで、血液の通り道は半分になっています。この程度の狭窄でも血流に大きな支障はありません。

動脈硬化の進行

入院していたこの患者さんは2000年9月2日の未明に心筋梗塞を起こしました。写真を見ると血管が切り取られたように、下へ向かってのびていた部分が見えなくなっています。矢印の部分で血管が詰まりましたが、緊急処置で患者さんは助かりました。

動脈硬化で血管が詰まる虚血性疾患は「狭心症」と「心筋梗塞」です。心臓の筋肉は3本の冠動脈で養われています。右側の写真は冠動脈を説明するときに使用する模型です。

動脈硬化の進行

心筋は運動などにより動きが盛んになると、正常なはたらきを保つための十分な酸素や栄養を必要とし、冠動脈の末梢が広がることによって血流が増します。しかし、動脈硬化により冠動脈に狭窄があると、心筋に十分な血流を送り出すことができなくなります。

狭窄の程度が強いと少し動いただけで、狭窄の程度が軽いと激しい運動をした時に、心筋への酸素の供給が足りなくなります。つまり、心筋の仕事量に見合っただけの酸素供給が足りなくなった時に症状が現れます。

冠動脈の動脈硬化を進行させる因子を冠危険因子といい、高コレステロール血症、高血圧、喫煙、糖尿病、肥満、痛風、中性脂肪、運動不足、精神的ストレスなどがあげられます。

  1-3-1 狭心症

狭心症は冠動脈が完全にふさがる前の状態です。冠動脈の中は狭くなっていますが、血流が完全に途絶えていないため、心筋の障害は血流が回復すれば元に戻ります

狭心症の代表的な発作症状は、胸の奥が痛い・胸がしめつけられる・胸が押さえつけられる・胸が焼けつくような感じなどがあります。大多数は胸部の症状として現れますが、上腹部(胃のあたり)や背中の痛み、喉の痛み、歯が浮くような感じ、左肩から腕にかけてのしびれや痛みとして感じることもあります

歩行中や階段昇降などの身体的な運動、精神的な興奮やストレスが誘因となって起こるのが労作(性)狭心症です。夜間や明け方に発作が多いことが特徴なのは安静狭心症で、冠動脈のけいれんによって起こるのは異型狭心症といいます。

歩行中や階段昇降などの、身体的な運動中に起こり方が一定しているのは安定(型)狭心症です。狭心症の発作を抑えるニトログリセリンが、効きにくくなった場合には不安定(型)狭心症と呼ばれます。

  1-3-2 心筋梗塞

心筋梗塞は、冠動脈が完全にふさがり心筋に血液が流れなくなった状態です。心筋が壊死し、重症の場合は死に至ることもあります

急性心筋梗塞は多くの場合、胸部の激痛、絞扼感(締めつけられるような感じ)、圧迫感が伴います。胸痛は30分以上持続し冷や汗を伴うことが多く、重症ではショック症状を示します。胸痛の部位は前胸部、胸骨下が多く、下顎、頸部、左上腕、心窩部に放散して現れることもあります。これに伴う症状として、呼吸困難、意識障害、吐き気、冷や汗を伴う時は重症のことが多いとされています。

重症な病気なので、強い胸痛があればすみやかに救急車で専門医の診察を受けることが大切です。心筋梗塞症は過度の疲労や緊張、暴飲暴食、天候の急変などをきっかけに生じることが多いので、それらを避けることが大切です。胸痛があったときにはすぐに医療機関に相談して下さい。

動脈硬化の進行

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2 動脈硬化の防止

動脈硬化にならないために、動脈硬化の原因や危険因子のコントロールが重要です。

循環器疾患の流れ

 2-1 肥満症

肥満は万病のもとです。肥満症に伴う合併症は「糖尿病・高脂血症・高血圧症・高尿酸血症・虚血性心疾患」などです。自分が肥満かどうかは簡単に判定できます

肥満の判定には、身長あたりの体重指数(肥満指数)を調べます。Bodey Mass Indexを略したBMIで知られていますが、BMIが18.5未満であればやせ気味、18.5~20・0であれば普通体重、20≦は肥満と判定されます。

あなたの標準体重(kg)は、身長(m)×身長(m)×22で計算された値です。仮に、あなたの身長が168cmの場合は1.68×1.68×22と計算され、あなたの標準体重は約62.1kgとなります。

なぜ肥満症になるのでしょう。肥満症になる原因は簡単な計算で知ることができます。「摂取したエネルギー(三度の食事、大食いや早食い、食べすぎに間食など)」-「消費したエネルギー」=「0」であれば肥満になることはありません。

差があれば、余ったエネルギーは中性脂肪となり蓄積されます。また、慢性的な運動不足やストレスも肥満の一因となります。運動不足であれば消費エネルギーが少なく、ストレスが多い場合は食べすぎ飲み過ぎになりがちです。

肥満の原因はエネルギー収支のアンバランスです。肥満と虚血性心疾患グラフを見ると、肥満度が上がるにつれて冠動脈疾患発症率が上がっています。

肥満と虚血性心疾患

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 2-2 血圧とは

血圧は、血液が血管内を流れるときに血管の壁に当たる圧力です

  2-2-1 最大血圧(収縮期血圧)

心臓が収縮して全身委血液を送り出すとき、血管に加わる圧力は最大になります。この時の血圧を最大血圧(収縮期血圧)といいます。

  2-2-1 最小血圧(拡張期血圧)

心臓が拡張して全身委送り出した血液が心臓にもどるとき、血管に加わる圧力は最小になります。この時の血圧を最小血圧(拡張期血圧)といいます。

肥満と虚血性心疾患

 2-2 血圧が高くなる理由

血圧は健康状態や心理状態、また測定するときの姿勢や時間帯によっても異なった数値が出ます。血圧は、ストレスなどの精神的なものや運動などで上昇するからです。さらに、1日の時間帯でも普通は目覚めているときは高く、睡眠中は低くなっています。

怒ったときや興奮したとき、急激な温度変化、疲労や睡眠不足、急激な運動、排便時などのいきみ、酒の飲みすぎ、塩分のとり過ぎ、太り過ぎの場合も血圧は高くなります。

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 2-3 高血圧の患者

更生労働省の平成26年調査によると、高血圧性疾患の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は1,010万8千人、男子が445万人、女性が576万6千人となっています。高血圧性疾患の年間医療費は1兆8,890億円でした。

食塩の摂取量を1日6g未満にしましょう。1日1gの減塩で血圧は1mmghg下がります。国民の平均血圧が4mmghg下がると、脳卒中による死亡者を1万人、心筋梗塞による死亡者を5千人減らすことができます。

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 2-3 高血圧のリスク

高血圧は症状が現れるまでに全身の血管を老化(つまり動脈硬化)させています。血管が老化すると、脳溢血(脳出血や脳梗塞)、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、心不全(心肥大)、大動脈疾患(大動脈瘤や大動脈解離)などが発症する危険性があります。

朝起きたら片方の手足が動かない、口がもつれて旨くしゃべれない、仕事中に突然いびきをかいて意識を消失した…など、脳血管障害(脳卒中)は何の前触れもなく、突然襲ってきます。

脳血管障害

血圧が高い状態が続くと血管に過度な負担がかかり、血管壁は厚くなり傷つきやすくなります。傷ついた場所にコレステロールが付着し、血管内部を狭くして動脈硬化(血管障害)がさらに進み、様々な病気の引き金になります。

高血圧関連の疾患

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 2-4 糖尿病のリスク

糖尿病になる生活習慣は、過食・運動不足・過度の飲酒・過度のストレスと言われます。糖尿病になると、膵臓から分泌されるインスリンの量が低下して血糖値の上昇を招くことで動脈硬化が促進され、血管障害や神経障害などの合併症が発症します。

日本の糖尿病患者数は年々増加して2007年には2,210万人となりました。その後、2012年には2,050万人、2016年には2,000万人と減少し始めていますが

糖尿病患者数

糖尿病では、全身をめぐる細い血管が障害を受ける細小血管症を合併する危険性があります。細小血管症とは、網膜症、腎症、神経障害といった病気のことで、糖尿病に合併する危険性があります。血糖値の高い状態が続くと血液中のブドウ糖により細い血管が障害され、眼の網膜や腎臓、からだ中をめぐる神経に損傷が起こります。

糖尿病最小血管症

また、糖尿病が原因で、毎年約3,000人の方が糖尿病網膜症失明しています。左下は正常な眼球写真で、右下は糖尿病網膜症の眼球です。

糖尿病最小血管症

糖尿病が原因で慢性腎不全となり、人工透析治療が必要となる患者数は「年間1万3千人」います。新たに人工透析治療を導入された慢性腎不全患者の原因疾患の中で、糖尿病が第一位となっています。人工透析は、水分制限・食事制限・生活制限が伴います。

糖尿病神経障害により生じる主な症状は、運動と知覚神経障害の症状と自律神経障害の症状です。運動と知覚神経障害の症状は、顔面神経麻痺、乾麺筋肉麻痺、肩・腕・横腹・足の自発痛、腕や太ももの筋力低下、指の感覚麻痺、こむらがえりなどです。

自律神経障害の症状は、立ちくらみ、発刊の異常、狭心症の痛みがわからなくなる、胃のもたれ、下痢や便秘、膀胱障害、勃起障害、逆行性射精などです。

糖尿病足病変の原因は、神経障害になる知覚異常や抵抗力の低下により細菌に感染しやすくなり、血管障害が起きると足の細胞が壊死します。足の感覚が麻痺して痛みなどが感じにくくなり、それによって壊疽のきっかけになるケガやキズに気づくのが遅れ、壊疽を起こしてしまいます。

壊死すると足を切断しなければならず、切断を受ける患者の15~19%は切断時に初めて糖尿病と診断されています。

糖尿病神経障害で生じる主な症状

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 2-5 糖尿病足病変の原因

ブドウ糖の影響で血管障害が発症すると、抵抗力の低下で病原菌に感染しやすくなります。神経障害が発症すると知覚異常により足の感覚が麻痺し、痛みなどが感じにくくなります。

それにより、壊疽のきっかけになるケガやキズに気づくのが遅れ、壊疽を起こしてしまいます。糖尿病が原因の壊疽で、足の切断を受ける患者の15~19%は切断時の初めて糖尿病と診断されています。

糖尿病性壊疽

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 2-6 糖尿病と心筋梗塞

糖尿病患者と非糖尿病患者における心筋梗塞の発症頻度を7年間追跡調査すると、糖尿病でない患者が心筋梗塞の初回発作を起こしたのは3.5%、糖尿病患者が心筋梗塞の初回発作を起こしたのは20.2%でした。心筋梗塞の再発発作を起こしたのは、糖尿病でない患者は18.8%、糖尿病患者は45.0%でした。

糖尿病患者と非糖尿病患者における心筋梗塞の発症頻度は、糖尿病患者が初回発作時は70.7倍、再発発作は8.5倍にもなります。この追跡調査から、糖尿病になると心筋梗塞になりやすいことが分ります

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3 コレステロール

 3-1 必要な材料

コレステロールは体のすべての細胞を作るための大切な材料で、コレステロールがなければ生命維持が危ぶまれます。生命維持に必要なコレステロール量を超えて体内に蓄積された場合は、全身の血管に動脈硬化を及ぼします。動脈硬化は心臓病・高血圧・脳卒中などの原因になります

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 3-2 HDLとLDL

HDLやLDLはコレステロールを運搬するたんぱく質です。LDLは、コレステロー糖尿病性壊疽ルを肝臓から細胞へ運搬します。過剰になると動脈硬化を促進します。HDLは、細胞で使われなかったコレステロールを肝臓へ運搬します。いわゆる、血管の掃除屋さんです。したがって、LDLコレステロールが少なく、HDLコレステロールが多いというのが理想です。

高コレステロール血症と他の危険因子が冠動脈疾患の発症に及ぼす関係を調べたグラフ危険因子と冠動脈疾患発症で、対糖能異常(糖尿病)・高血圧(収縮期血圧195以上)・喫煙・心肥大などの、危険因子の影響が分ります。

典型的な心臓発作は、中年の男性・肥満・脂ぎった顔・高カロリーの食事・喫煙・寒冷暴露が原因と考えられています。

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 3-3 動脈硬化の検査

動脈硬化は無症状で進行し、ある日突然に血管が血栓で閉塞したり、血管が破れて出血します。血管が血栓で閉塞すると狭心症や心筋梗塞、血管が破れて出血すると脳出血や脳梗塞になります

動脈硬化は無症状

現在の動脈硬化の状態を知ることはできないでしょうか。様々な検査のうちで動脈硬化の早期発見に適しているのは、「心電図検査・胸部X線検査・血液検査」のうちどれでしょう。

動脈硬化の検査

  3-3-1 心臓超音波検査

心エコー検査

心エコー検査と呼ばれる心臓超音波検査は、心臓の大きさや厚さなどの詳細な計測ができます。心機能の評価としての筋肉の動き、便の機能や狭窄不全などの血流の状態、心のう液の有無や胸水の有無を調べることができます。血管の動脈硬化はわかりません。

  3-3-2 頸動脈超音波検査

頸動脈エコー検査と呼ばれる頸動脈超音波検査は、動脈硬化の状態を診断することが可能です。右下の写真は正常な頸動脈の状態ですが、その下の写真はコレステコールが張り付いてプラークとなり、血管を狭窄させています。

頸動脈エコー検査

ある患者の右頸動脈と左頸動脈の、血管を輪切りにした写真と横向きの写真です。左頸動脈内に血管内部の上からプラークが垂れ下がっているのが分かります。横向きの写真でも、血管壁にプラークが垂れ下がり血管の狭窄が進んでいることが分かります。

頸動脈の状態

頸動脈の超音波検査は動脈硬化の状態を明確に診断できます。頸動脈の状態を見て、全身の状態を類推しています。

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  3-3-3 血圧脈波検査

CAVI(キャビィ)検査と呼ばれる血圧脈波検査は、上肢と下肢の血圧比(ABI)と脈波伝搬速度(PWV)血圧脈波検査を検査することで、血管内の状態を類推することができます。

この検査は、あお向けに寝た状態で両腕・両足首の血圧と脈波を測定します。時間は5分程度で、血圧測定と同じ感覚でできる簡単な検査です。動脈の硬さ、動脈の詰まり、血管年齢などが分かります。

  3-3-4 冠動脈CT検査

体にX線を照射し、撮影した体内の画像をコンピューターを使って立体的に見たり、血管の性状を見ることで心臓の状態や働きを詳しく検査します。

冠動脈CT検査の造影剤使用量は30~100cc、息を止める撮影時間は4~8秒で検査に要する時間は約10分です。撮影した画像の再構成に要する時間は30~60分ほどです。

冠動脈CT検査

心臓に酸素や栄養をおくる冠動脈と呼ばれる血管の状態や、心臓の全体像がわかります。冠動脈が細くなり、心臓に十分な酸素がおくれなくなることによっておこる狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患や、生まれながらにある心臓や血管の走行異常などを早期に発見することができます。心臓バイパス手術後の経過なども調べることが可能です。

冠動脈CT検査

狭心症で、冠動脈の狭窄している箇所や閉塞している箇所(矢印で示す箇所)が明確に分かります。また、下肢の閉塞性動脈硬化症も明瞭に確認できます。

閉塞性動脈硬化症

  3-3-5 検査を受けるべき人

喫煙している人、肥満症の人、脂質異常症や高血圧の人、そして糖尿病の人は検査を受けるべきです。特に、体を動かしたときに胸全体に重苦しい痛みを感じる、安静にしていても急に胸が苦しくなる、長く歩くと太腿やふくらはぎが痛くなり、休むよ痛みが軽くなる人です。

生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質異常症)と心血管病発症率の関係を表にすると、危険因子が集積すると心筋梗塞の危険性が大きくなります。血圧も脂質も血糖値も正常値より少しオーバーしていると安心している方は要注意です。

高血圧症、高脂血症、糖尿病などが合併すると、命を脅かす心筋梗塞などの発症危険率がグンと高くなります。これらは現代の生活習慣に起因する病気です。危険因子の重なりを診療してもらい、その改善に務めました。心筋梗塞などの発症危険率10年間

心筋梗塞などの発症危険率は男子55歳の場合

心筋梗塞などの発症危険率

静かに忍び寄る恐怖……それは動脈硬化症です。動脈硬化は無症状で進行します。高血圧症で脂質異常症だった86歳女性の、冠動脈に動脈硬化が発症した事例です。赤の矢印が動脈硬化を起こす位置です。

健康診断の写真は軽い動脈硬化を発症していましたが、問題があるというほどではありません。11ヶ月後に狭窄が大きくなりました。更に11ヶ月後にはかなり狭窄が大きくなりました。その7ヶ月後の朝、入院しているベットの上で心筋梗塞の発作を起こしました。これほど早く症状が悪くなるというのも珍しい事例です。女性は助かりました。

動脈硬化の進展

 3-4 まとめ

動脈硬化は無症状のうちに進行し、全身の血管が徐々に狭くなり、最終的に詰まったり(閉塞)、破れて(出血)しまう恐ろしい病気です。自覚症状が出てからではすでに手遅れの場合も少なくなく、日ごろからの予防と早期発見が重要です。

動脈硬化の促進因子である生活習慣病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症・喫煙など)にすでにかかっている方は、機会をみつけて検査(CTやエコーなど)を受けましょう

参加者

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謝辞:文中に掲載した写真は、プロジェクターで投影されたものを撮影して転載しました。ありがとうございます。