はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第5章 修繕の準備作業

2002(平成14)年5月25~26日の2日間、北海道庁赤レンガ庁舎二階会議室で北海道主催の「マンション管理講座」が開催されました。寺地一級建築士(2005.10.29逝去)の講演より「修繕の準備作業」の要約です。

1 講座の概要

マンションは、生い立ちから住民の意識まで百棟百様です。ところが、自分のマンションの状態を客観的に把握している管理組合はそう多くありません。マンションツアーを実施して、参加者全員で確認されたところもありますが、どのような方法をとれば自分の住むマンションの現状を把握できるでしょうか。会場の様子

修繕の準備作業は「自分たちのマンションを知ろう」が導入でした。講師の寺地さんは修繕の相談を受けて診断されたマンションの劣化状態を撮影した写真を投影されました。どの写真も息を呑む惨状で、人目に触れない部分の劣化状態が映し出されるたびに背筋を冷や汗が流れました。

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まず、資料を整備することが修繕の準備作業と位置付け、次のチェック項目を挙げられました。

1-1 竣工図書やパンフレットなどの
       図面類が保管されていますか

  ・ 販売期間中にもらったパンフレット類は大変重要な資料です。(コピーでもよ
    いので保管しておくこと。)

1-2 共用部が明確になっていますか

  ・ 共用部を自己都合で利用している人がいれば大変です。

1-3 長期修繕計画はどうなっていますか

  ・ 5年も前のものは現状に合いません。

1-4 修繕積立金はどうなっていますか

  ・ 住宅金融公庫が基準として示した額を超えていますか。

1-5 これまでの修繕の実績は
       きちんと記録されていますか

  ・ なにをどのように直しましたか。

1-6 これまでの修繕の実績は
       きちんと記録されていますか

  ・ 修繕記録を作成しましょう。(階段室などは内科、外壁は外科、配水管は循環
    器科などと分類。自分の体に置き換えることで親近感が沸いてきます。)

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2 トラブル事例

2-1 ヒト

マンションは民主主義の学校 = コミュニティ。

2-1-1 区分所有者の希望

・ 区分所有者はどのようにしてほしいのか。アンケート調査とその開示。

2-1-2 法や規約の無知

・ 理事会権限について無知、ベランダ仕様権の無知。法と規約の勉強は必要。(むし
  ろ、必須と言える。)

2-1-3 理事会の専横

・ 理事会権限だけ理事長だけの決定で修繕実施。歯止めをかける勇気が必要。理屈だ
  けでなく人格で判断する心理。

2-1-4 修繕委員会の構成

・ 総務・資金・法務・技術・広報などの仕事を分担。問題に気付いている人が先頭に
  立たなかったら動かない。

2-1-5 資金不足

・ 工事代金が支払えない。資金計画は月別に確認しておく。

2-1-6 総会運営

・ 総会の混乱が不安、意義続出で流会。事前説明会をもち、説明と決議を分けるとよ
  い。

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2-1-7 理事会引継ぎ

・ 理事の入れ替えで、それまでの経過がパア。理事の二年交代制の導入。

2-1-8 高賃貸化

 ・ 連絡できずに対応が大変。入居者名簿の整備。

2-1-9 滞納者

・ いれば資金計画と工事計画がストップ。滞納状況の確認と対策。

2-1-10 広報の重要性

・ 調査の回収率と工事時の不在率。広報の重要性を認識(居住者の二割を取り込め)。
  専門委員会の検討経過のニュース速報

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2-2 モノ

自分の財産は自分で守る = メンテナンス。

2-2-1 建物診断の重要性

・ なぜ修繕するのか=いま修繕しないとどうなるのか。一時診断からスタートすべ
  き。

2-2-2 診断レベルの低さ

 ・ 理事会のマンションツアーで発見したことだけの診断書。業者選定の判断資料。

2-2-3 基礎資料の不足

・ 竣工図・パンフレット・修繕履歴・管理規約集。保管場所の確保、貸出ルール。

2-2-4 漠然とした修繕周期

・ 診断も共通仕様もなく見積書を比較。まず、プログラムを考える。漠然とした修繕
  周期(周期を過信した計画修繕は無駄遣い)。診断と診断者の基本的資質。

2-2-5 実費精算と予備費

・ 改修には実費精算が必須。実費精算方式を理解する。

2-2-6 補償の内容に限界

・ 補償の内容名でチェック。補償の内容を理解する(不明確な点は質問)。

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2-2-7 診断教育の不足

・ 1989/11921 北九州公団住宅タイル落下で3名死亡。専門家の話を鵜呑みにせず
  自分の感覚を大切に。コンクリート等の専門家不足。

2-2-8 共用・専有の区分

・ 配管問題などは問題山積。意識調査・実態調査も必要。

2-2-9 屋上断熱防水

・ 診断手法・改修手法が未確立で手探り状態。過信しない。多くの改修業者は新築か
  ら改修に急旋回している。

2-2-10 修繕と改良

・ 維持保全と改良保全を長期スパンで考える。どんな改良が必要か常に話し合う。

2-2-11 工事監理とは何か

・ 単に現場を見るだけか。作業量に見合った報酬を考える。

2-2-12 工事監理とは何か

・ 各部の名前。修繕委員は業者との共通語を理解する。建物各部の名称をみんなで覚
  える。適切な本が少ないのが悩み。

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2-3 カネ

家計管理の感覚を取り戻そう = マネジメント。

2-3-1 施工業者選定の透明性の確保

・ 理事会としての勉強会が必要。最後はプレゼンテーション勝負にすると良い。常に
  複数で合い記録を残すこと。

・ 施工業者選定の透明性の確保(GNP慣行“義理・人情・プレゼント”による建設営業。
  勝手に、理事長の親戚や知合いに工事を発注した。)。毅然とした姿勢を理事会で確
  認しておく。

2-3-2 適正価格による発注

・ 優良な総合請負会社と優良な専門工事会社とのお見合い。元請けCM方の採用(東
  京で1万2千社が登録済み)。適正価格による発注(ゼネコンも原価がわからない)。
  オープンシステムの開発。

2-3-3 煩雑な事務処理

・ 理事会対応も含めた業務処理代行。マンション管理士の活用、管理士の育成。

2-3-4 受注落選会社の妨害工作

・ 支払い遅延、管理人の対応。管理会社との連携を早めに。

2-3-5  一時金の不払い続出

・ 決議しても払えない人の存在=現状では難しい。早めに修繕積立金値上げを。長期
  修繕計画はグラフ化。

2-3-6  安かろう悪かろうという仕事

・ 金額だけで決めてしまった事例。時間をかけ、修繕事例の収集に努める。

2-3-7  アフターサービスの活用

・ せっかくの権利を行使しないと無駄な出費。アフターサービス時の理事会が命運を
  握る。

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2-4 外部のヒト

2-4-1  安かろう悪かろうという仕事

・ 設計事務所のモラル。業者からのペイバック、紹介ビジネスの横行。見えないた
  め、複数設計事務所に競争見積もりの導入。

2-4-2  安かろう悪かろうという仕事

・ 業界のしくみ。工事費の○%が報酬というシステム=利益相反。紹介業者を避け
  て、常に競争入札の導入。

2-4-3  能力不足

・ 使用間違い、監理ミス。専門家を過信しない。多くのヒトを説得する能力。

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3 資料の活用

説明する寺地一級建築士マンション管理センターから出ている「計画修繕工事のすすめ方」は、計画の進め方や修繕委員会運営細則例など資料が豊富ですから、管理組合の役員は参考書としてご利用いただきたい本です。余裕があれば、修繕委員の方々も座右に置かれるべきでしょう。

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